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税務の勘所Vital Point of Tax

各都道府県の平成30年分相続税の申告状況をチェック!

2020/05/08

 国税庁が公表した平成30年分の相続税の申告績によると、平成30年の1年間における全国の被相続人数(亡くなった人)は136万2470人で、そのうち相続税の課税対象となった被相続人数は11万6341人。相続税の課税割合は8.5%で、前年分の8.3%から0.2ポイントの増加となった。

 この相続税の申告状況を都道府県別で見てみると、課税割合が最も高かったのは東京都の16.7%で、前年分の16.2%から0.5ポイント上昇した。次いで、愛知県14.3%(前年分13.9%)、神奈川県1 3 . 3%( 同1 3 . 0%)。埼玉県10.2%(同10.2%)、静岡県10.0%(同9.9%)となっている。47都道府県のうち、相続税の課税割合が10%を超えたのは、この1都4県だった。

 課税対象の被相続人数を都道府県別に見てみると、課税割合と同様、東京都が1万9876人(同1万8811人)と最も多い。続いて、神奈川県1万928人(同1万409人)、愛知県9838人(同9370人)、大阪府7748人(同7577人)、埼玉県6910人(同6706人)、兵庫県5306人(同4938人)、千葉県5291人(同5133人)となっており、この1都1府5県では、課税対象の被相続人が5千人を超えている。

 相続税の基礎控除が引き下げられる前の平成26年分の課税対象者は5万6239人。平成30年分は11万6341人と2倍以上に増えており、国税庁では、申告件数が大幅に増加したことを受けて、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用している。
 
 具体的には、①保有する資料情報等から相続税の無申告が想定される納税者等に対し、書面照会を行うことによる、自発的な期限後申告書の提出を促す取組み。②調査すべき問題点が限られている事案に対し、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を実施し、より効率的に納税者等に接触する取組み――といったことに積極的に取り組んでいる。

 こうした簡易の接触を平成30事務年度は1万332件に行い、このうち申告漏れなどの非違や回答などがあったのは5878件、その割合は5 6 . 9%だった。なお、平成30事務年度の実地調査の件数は1万2463件で、申告漏れなどの非違があったのは1万684件、非違割合は85.7%となっている。

遺産分割事件の新受件数 20年間で約1.5倍に増加

 高齢化により相続の発生件数が増えてくると共に、相続人同士の争いも増加傾向にある。最高裁判所の司法統計年報(家事事件編)によると、遺産分割事件の新受件数(審判+調停)は、平成10年時点で1万302件だったが、平成30年には1万5706件となっており、20年間で1.5倍も増えている。

 相続財産をめぐる争いというと、資産家の問題と思われがちだが、司法統計年報によると、遺産分割事件で争っている金額の割合として5000万円以下が全体の76.3%を占めており、そのうち33.0%は1000万円以下の遺産をめぐって争われている。

 このように遺産の多い少ないに関係なく、相続人が複数いれば、どんな家庭でも争いが起きるだけに、相続を『争族』にさせない事前対策は、誰もが考えておくべき重要な問題といえそうだ。


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