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税務の勘所Vital Point of Tax

特定資本関係5年超の適格合併でも…  国税当局の「伝家の宝刀」認容

2020/01/27

 巧妙な租税回避を封じる国税当局の「伝家の宝刀」とも言われている組織再編成に係る行為・計算の否認規定(法人税法132条の2)。この適用をめぐって争われた裁判の控訴審判決が20191211日、東京高裁で言い渡された。

 車両部品メーカーA社は、二輪車部品製造会社を子会社にし、特定資本関係5年を超える要件を満たした後に適格合併を行った。A社は、新設した二輪部品製造の別会社に被合併会社の従業員を転籍させ、棚卸資産を移転させるなど、事実上、特定資本関係ができた後に生じた未処理欠損金だけを引き継いだ。しかし、国税当局は、法人税法132条の2を適用して損金算入を認めなかったことで争いが勃発。一審判決で車両部品メーカー側が敗訴し、控訴していた。

 主な争点は、①5年超の特定資本関係がある会社間の合併の場合に法人税法132条の2の適用が認められるかどうか、②納税者が行った合併が「法人税の負担を不当に減少させる結果となるになると認められるもの」に当たるかどうか。

 東京高裁は、法人税法132条の2の文言上、組織再編成に係る特定の行為または計算を否認の対象から除外する定めはないこと、控訴人主張のように法人税法57条は特定資本関係5年超を充たす適格合併には、一般的否認規定を適用しない趣旨を明確にしたと解することは困難とした上で、従業員引継ぎ要件や事業引継ぎ要件を必要としていないという控訴人の主張に「事業継続要件が求められていないのは、もともと経済的に同一であった被合併法人が合併する場合であるからということを意味するに過ぎない。税制立案担当者も、組織再編税制に事業継続していることを前提にしている旨を説明していたことが認められる。法人税法572項の趣旨において、およそ事業の継続が考慮されていないものと解することは困難」とし、法人税法132条の2の適用に問題はないとした。

 また、「法人税を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるかどうかの「不当性要件」について、概ね「租税回避の意図の有無、各規定の趣旨目的からの逸脱の有無の視点から検討すべき」などとして一審判決を支持している。

 東京高裁は、法人税法132条の2の文言上、組織再編成に係る特定の行為または計算を否認の対象から除外する定めはないこと、控訴人主張のように法人税法57条は特定資本関係5年超を充たす適格合併には、一般的否認規定を適用しない趣旨を明確にしたと解することは困難とした上で、従業員引継ぎ要件や事業引継ぎ要件を必要としていないという控訴人の主張に「事業継続要件が求められていないのは、もともと経済的に同一であった被合併法人が合併する場合であるからということを意味するに過ぎない。税制立案担当者も、組織再編税制に事業継続していることを前提にしている旨を説明していたことが認められる。法人税法572項の趣旨において、およそ事業の継続が考慮されていないものと解することは困難」とし、法人税法132条の2の適用に問題はないとした。

 また、「法人税を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるかどうかの「不当性要件」について、概ね「租税回避の意図の有無、各規定の趣旨目的からの逸脱の有無の視点から検討すべき」などとして一審判決を支持している。

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