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税務の勘所Vital Point of Tax

認定支援機関の活躍のチャンス広がる 事業承継税制、先端設備等導入計画etc

2019/05/24

 中小企業が直面する経営課題が多様化・複雑化する中、それらの課題解決を支援する担い手として脚光を浴びている認定経営革新等支援機関(認定支援機関)。2018年度税制改正により創設された法人向けの事業承継税制の特例をはじめ、認定支援機関の関与が必要となる国の施策が増加しており、認定支援機関が活躍するチャンスが広がっている。

 2012年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」(現:中小企業等経営強化法)により、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設された。2019年2月時点における認定件数は3万2852件。そのうち税理士は2万2215件、税理士法人は2999件で、税理士業界だけで全体の76.7%を占めている。

 認定制度がスタートしてから2年ほど“認定ラッシュ”が続いたが、その後は2か月ごとに100~300件が認定されるペースに落ち着いていた。だが、2018年6月頃から認定数が再び増加し、今年2月までの8か月間における認定数は4800件を超えている。

 その要因のひとつとして考えられるのが、認定支援機関の活躍の幅が広がったことだ。2018年度税制改正では、法人向けの事業承継税制の特例が創設されたほか、先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業に対し、自治体の判断で固定資産税を最大ゼロとする制度が導入されたが、それらの恩恵を受けるためには認定支援機関の関与が必須となっている。

 さらに、2019年度税制改正では、個人事業者の事業承継税制が創設された。これも法人向けと同様、承継計画の作成などにおいて認定支援機関による指導・助言を受けることが必須だ。そのほか、「事業承継補助金」や「ものづくり補助金」、「経営改善計画策定支援事業」なども認定支援機関の関与が求められており、その手腕に大きな期待が寄せられている。

認定支援機関に更新制度を導入
補助金等の支援実績の見える化も

 ただ、認定支援機関の役割が重要になる一方で、経営革新等支援業務を実施していない認定支援機関も少なくなかった。また、3万件を超える認定支援機関の中から、自社のニーズに適した認定支援機関をどのように探し出すかという課題もあった。

 そうした実態を踏まえ、認定支援機関の支援の質を維持・確保するため、5年ごとに認定支援機関の支援能力を確認する更新制度が導入された。更新時には、①税務、金融および財務に関する専門的な知識、②中小企業などへの支援に関する実務経験、③業務の継続的な実施に必要となる体制を有しているか――という点が改めて確認される。

 2015年7月以前に認定を受けた機関については、更新申請の「集中受付期間」を設定し、順次受付を行っているところだが、今年3月8日の初となる更新認定では、更新申請を推奨する対象者5481件のうち、3902件が認定を受けている。

 なお、認定支援機関の新規申請や更新申請の手間を簡素化するため、2 0 1 9年5月2 2日から「認定支援機関電子申請システム」が導入され、2021年4月~2022年3月の申請から完全電子化となる。

 3万件を超える認定支援機関について、それぞれの活動実態を“見える化”する動きも進んでいる。中小企業などが認定支援機関を把握・比較し、自社に適した専門機関を容易に選択できるように「認定経営革新等支援機関検索システム」を開設。認定支援機関の得意な支援分野や具体的な活動内容を確認できるほか、今年3月にはリニューアルが行われ、認定支援機関の関与を要する施策への支援実績などを調べることも可能となった。現在は「ものづくり補助金」の採択件数や採択率などを確認できるが、そのほかの施策についてもシステムに順次表示される予定だ。

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