番外編 福岡国際マラソン2
2017/12/08
今回のテーマは前回に引続き、『福岡国際マラソン』で、既に結果をご存知の方も多いと思いますが、レース展開や総括なども含めてお伝えできればと思います。
<レース展開>
当日の天候は曇り、気温14℃、北の風2mと絶好のコンディションで行われました。ペースメーカーの設定は1km3分00秒ペースで30kmまで。このまま走り切れば日本歴代2位のタイムとなる『日本人にとっては』速いペースです。
先頭集団は最初の5kmを14分59秒、10kmは30分01秒、15kmは44分59秒と、ほとんど設定通りに進んでいきます。17km付近では注目の川内優輝選手(埼玉県庁)も遅れる展開。川内選手はスタミナ型の選手であり、1km3分00秒というペース設定は少し速かったのかもしれません。
トップが20kmを1時間00分03秒、中間点を1時間03分19秒で通過すると、徐々に後退する選手が増えていきます。リオ五輪マラソン代表の佐々木悟選手(旭化成)、初マラソンで注目された神野大地選手(コニカミノルタ)もここで離れていきました。
25kmを1時間15分04秒で通過すると、モーエン(ノルウェー)、カロキ(DeNA/ケニア)の両選手が集団の前に位置取り、日本選手は集団の後方に並ぶ形に。28~29kmで佐藤悠基選手(日清食品)、深津卓也選手(旭化成)、竹ノ内佳樹選手(NTT西日本)と遅れ、先頭集団は外国勢と大迫傑選手(Nike ORPJT)の5人に。
30kmを1時間30分08秒で通過してペースメーカーが外れると、モーエン選手とカロキ選手が先頭に立ってペースアップ。実績十分のカロキ選手が振り切って独走になるかと思いきや、逆に36km過ぎでモーエン選手がスパート。30~35kmを14分37秒、35~40kmを14分38秒とハイペースで押しきり、非アフリカ系で初めて2時間06分を切る2時間05分48秒のヨーロッパ新記録で優勝しました。
そして日本の大迫選手は30km以降も素晴らしい走りを披露。30~35kmを14分55秒と上げ、35~40kmも15分18秒でカバー。最終的に2時間07分19秒という日本歴代5位の好記録で3位となりました。
<レース結果>
1 2°05'48" ソンドレノールスタッド・モーエン ノルウェー
2 2°07'10" スティーブン・キプロティク ウガンダ
3 2°07'19" 大迫 傑 Nike ORPJT
4 2°08'44" ビダン・カロキ DeNA
5 2°09'22" マヌエル・メセル エリトリア
6 2°09'27" 上門 大祐 大塚製薬
7 2°10'01" 竹ノ内 佳樹 NTT西日本
8 2°10'46" ギザエ・マイケル スズキ浜松AC
9 2°10'53" 川内 優輝 埼玉県庁
10 2°12'04" 深津 卓也 旭化成
<振り返り>
今大会を一言でいえば、『世代交代』を表した結果となりました。日本人トップの大迫選手はマラソン2回目の26歳、中盤から追い上げて2位となった上門選手は3回目の23歳、3位の竹ノ内選手は2回目の25歳と若手が躍進。サブ10のタイムを持つ川内選手、深津選手が9位、10位となりました。
昨年は気温が下がり、ハーフも今年より1分以上遅く通過したため、川内選手も余裕ができて後半まで勝負できましたが、今年は一転、好コンディションのハイペースなレース展開。川内選手が早い段階から遅れる一方、スピードに優れた大迫選手が押し切る結果につながりました。
また、いま業界で話題になっているのがナイキの新しいシューズ『ズーム ヴェイパーフライ 4%』です。これまで日本で主流だった『ソールの薄い』シューズとは真逆、かなり厚さのあるシューズで、軽さとクッション性を備えたものです。そしてこの福岡国際マラソンでも、このシューズを履いた選手が上位4人を占める結果となりました。
日本のマラソンにとっても、またシューズ業界にとっても世代交代が垣間見えた本大会。男子マラソンはこの後、東京、びわ湖と続いていきますが、両大会の結果にも注目したいと思います。