相続税の土地評価で10%減額が認められる場合
2016/09/23
<質問>
相続税を計算する際、相続財産の土地に騒音などの特別な理由がある場合には、路線価をもとにした評価額から10%分の減額が認められる場合があると聞きました。それはどんな場合でしょうか。
<回答>
お尋ねの土地の相続税評価の取扱いで認められている「10%評価減」の評価方法は、付近の土地の利用状況と比較して著しく利用価値が低下している土地の部分に適用できるものとされています。国税庁のホームページによると「利用価値が著しく低下している宅地の評価」として、次のようなケースで10%の減額が認められる場合があるとしています。
①道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差の
あるもの
②地盤に甚だしい凹凸のある宅地
③震動の甚だしい宅地
④上記①から③までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響
を受けると認められるもの
ただし、こうしたマイナス要因がすでにその前面道路につけられた路線価や倍率に反映されている場合には、重ねて減額が認められることはありません。また、段差等があっても、それが著しい利用価値の低下につながらない場合があるので、慎重な検討が必要です。
たとえば、前面道路と高低差が最大3メートル程度あったケースでも、国税不服審判所が「10%減額」を認めない裁決を下した事例があります(平成24年5月8日)。
問題となったのは、南東から北西にかけて傾斜する地勢の3筆の土地。道路に面した部分は、駐車場スペースとなっていましたが、共同住宅の敷地として利用されているところは高低差があり、およそ2.9mから3.6m道路より高い位置で利用されている土地でした。そこで相続人は、相続税の取扱いで「10%評価減」ができるのではと考え、相続税の申告後、「更正の請求」で相続税の減額を求めましたが、当局に認められず、国税不服審判所に対する審査請求に至ったものです。
たとえば、前面道路と高低差が最大3メートル程度あったケースでも、国税不服審判所が「10%減額」を認めない裁決を下した事例があります(平成24年5月8日)。
問題となったのは、南東から北西にかけて傾斜する地勢の3筆の土地。道路に面した部分は、駐車場スペースとなっていましたが、共同住宅の敷地として利用されているところは高低差があり、およそ2.9mから3.6m道路より高い位置で利用されている土地でした。そこで相続人は、相続税の取扱いで「10%評価減」ができるのではと考え、相続税の申告後、「更正の請求」で相続税の減額を求めましたが、当局に認められず、国税不服審判所に対する審査請求に至ったものです。
審判所は、問題の土地の前面道路につけられた路線価の設定区間のほかの土地34件について事情を調べたところ、「23件は(中略)高低差が認められ、うち21件については1メートル以上2.5m未満の高低差が認められる」として、問題の土地は「『その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの』に該当するとは認められない」と判断。また、審判所は10%評価減の評価方法の適否について「単に、ある宅地と付近にある宅地との高低差があることのみをもってこれを判断するという解釈を採れば、例えば当該宅地の日当たり、風通し、水はけ及び眺望を良くする目的で盛土をした場合など、その利用価値が(中略)必ずしも低下要因とはならない高低差がある場合でも、容易に減額を受けられることとなり、(中略)評価方法の趣旨とは相いれない」として請求人の請求を退けています。
今回のアドバイザー:税理士法人タクトコンサルティング