参加差押えは違法か? 滞納国税を徴収するために必要な範囲か否か・・・
2025/10/17
原処分庁は、請求人が滞納国税(本件滞納国税)を納期限の令和4年3月15日までに完納しなかったことから、令和4年5月17日、国税通則法第37条《督促》の規定に基づき、請求人に督促状を発して納付を督促した。

原処分庁は、請求人が所有する各不動産(本件各不動産)についてB税務署長がすでに差押えをしていたところ、本件滞納国税を徴収するため、令和5年12月8日付で、徴収法第86条第1項の規定に基づき、B税務署長に参加差押書を交付して参加差押処分(本件参加差押処分)をし、同条第2項の規定に基づき、請求人にその旨を通知するとともに、同条第3項の規定に基づき、本件参加差押処分の登記を嘱託した。これを不服とした請求人は令和6年2月6日、参加差押処分の一部の取消しを求めて審査請求をした。
争点は、原処分庁の参加差押処分は本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分か否か。
滞納者に処分制限などの新たな負担は発生しない
請求人は、「本件各不動産の価額は、周辺地域における不動産の取引状況からすると1坪当たり約○○○○円で、本件滞納国税の金額を徴収するために必要な不動産の面積は約100坪で足りるはずである。したがって、本件参加差押処分は、本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分であり、その必要な範囲を超えた部分に相当する財産である各不動産に係る参加差押処分は取り消されるべきである」と主張。
一方の原処分庁は、「徴収法第87条第1項は、参加差押えをした場合、その参加差押えに係る財産についてされた滞納処分による差押えが解除されたときは参加差押通知書が滞納者に送達された時などまで遡って差押えの効力が生ずる旨規定していることから、参加差押えは、先行の差押えが存在する限りにおいては差押えの執行機関に対する交付要求としての効力を有するにとどまる。そして、徴収法第48条第1項は、国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押さえることができない旨規定しているところ、同項の規定は参加差押えに準用されていないから、本件参加差押処分に同項の規定は適用されない」とした。
これに対して審判所は、「参加差押えは、滞納者の財産について、すでに強制換価手続である滞納処分による差押えがされている場合に、その差押えをした行政機関等に対して交付要求をするものであり、その先行する差押えが解除されたときは、参加差押通知書が滞納者に送達された時に遡って差押えの効力が生ずるものであるから、先行する差押えが解除されない限り、その先行する差押えをした行政機関等に対して配当を求める交付要求としての効力を有するにすぎないというべきである」と指摘。
そして、「このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないから、同項の規定は参加差押えには適用又は準用されない。したがって、本件参加差押処分には、超過差押えに係る規定は適用又は準用されないから、本件参加差押処分が滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分ということはできない」として請求人の主張を棄却した。