税務バトルから学ぶ 審判所の視点 ザ・ジャッジ

生活の拠点はどこか? 居住用財産特例の適用可否をめぐるバトル

2026/04/21

 請求人は、平成16年2月に死亡した請求人の父に係る相続により、a市d町に所在する土地(本件土地)及びその上の家屋(本件家屋)を取得した。

 令和元年12月、請求人は社会医療法人Eとの間で、本件土地を4000万円で売り渡す売買契約を締結し、当該契約の特約に基づき本件家屋を令和2年4月に取り壊した後、翌月に本件土地をEに引き渡した。

 請求人及び妻は平成17年11月、a 市b 町に所在するマンション(本件マンション)を売買により共有で取得。そこに入居し、平成17年12月に住民票上の住所を本件マンション住所に移転した。

 その後、請求人は平成28年に住民票上の住所を本件マンション住所から本件家屋の住所とし、令和2年に本件土地を引渡した後、本件マンション住所へ再び移転した。

 請求人は、平成28年分から令和元年分までの所得税及び復興特別所得税の確定申告書を申告期限までに提出した。確定申告書の「住所」欄には本件マンション住所を、「電話番号」欄には自宅の区分を丸で囲んだ上で固定電話の電話番号を、いずれも手書きで記載していた。

 請求人は、令和2年分の所得税等について、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額及びその税額の計算において、措置法第31条の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)第1項に規定する特例及び居住用財産の譲渡所得の特別控除(本件特別控除)を適用し、法定申告期限までに申告した。

 原処分庁は調査に基づき、請求人は居住の用に供している家屋を複数有していたところ、本件家屋は主として請求人の居住の用に供されていた家屋とは認められないから、本件土地の譲渡に措置法第31条の3第1項に規定する特例及び本件特別控除の適用はないなどとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。請求人は、原処分を不服として令和6年7月に審査請求をした。

 争点は、本件家屋のうち居住用として使用していた部分は、請求人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の家屋であるか否か。

 請求人は、「本件家屋への入居の経緯については、本件調査担当職員に対し『請求人妻との間の諸事情であるが、それを詳細に説明する必要はないと思う』と具体的な理由を回答している」、「本件家屋では、トイレの貯水タンクの劣化や風呂のボイラーの故障などもあり、電気、上下水道及びガスの使用量が著しく少なくなる生活を送っていた。また、本件マンションの水道光熱費は、居住人数が二人から一人に減ってもそう変わるものではない」などと主張。

 一方、原処分庁は、「請求人は、本件家屋へ入居した経緯について、本件調査担当職員に対し「家庭の事情である」旨の申述をするも具体的な回答を拒否したことから、本件家屋への入居目的が判然としない」、「住所の移転前後において、本件家屋及び本件マンションの電気、上下水道及びガスの使用量にそれほど変化がない」などとした。

 令和元年12月、請求人は社会医療法人Eとの間で、本件土地を4000万円で売り渡す売買契約を締結し、当該契約の特約に基づき本件家屋を令和2年4月に取り壊した後、翌月に本件土地をEに引き渡した。

 請求人及び妻は平成17年11月、a 市b 町に所在するマンション(本件マンション)を売買により共有で取得。そこに入居し、平成17年12月に住民票上の住所を本件マンション住所に移転した。

 その後、請求人は平成28年に住民票上の住所を本件マンション住所から本件家屋の住所とし、令和2年に本件土地を引渡した後、本件マンション住所へ再び移転した。

 請求人は、平成28年分から令和元年分までの所得税及び復興特別所得税の確定申告書を申告期限までに提出した。確定申告書の「住所」欄には本件マンション住所を、「電話番号」欄には自宅の区分を丸で囲んだ上で固定電話の電話番号を、いずれも手書きで記載していた。

 請求人は、令和2年分の所得税等について、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額及びその税額の計算において、措置法第31条の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)第1項に規定する特例及び居住用財産の譲渡所得の特別控除(本件特別控除)を適用し、法定申告期限までに申告した。

 原処分庁は調査に基づき、請求人は居住の用に供している家屋を複数有していたところ、本件家屋は主として請求人の居住の用に供されていた家屋とは認められないから、本件土地の譲渡に措置法第31条の3第1項に規定する特例及び本件特別控除の適用はないなどとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。請求人は、原処分を不服として令和6年7月に審査請求をした。

 争点は、本件家屋のうち居住用として使用していた部分は、請求人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の家屋であるか否か。

 請求人は、「本件家屋への入居の経緯については、本件調査担当職員に対し『請求人妻との間の諸事情であるが、それを詳細に説明する必要はないと思う』と具体的な理由を回答している」、「本件家屋では、トイレの貯水タンクの劣化や風呂のボイラーの故障などもあり、電気、上下水道及びガスの使用量が著しく少なくなる生活を送っていた。また、本件マンションの水道光熱費は、居住人数が二人から一人に減ってもそう変わるものではない」などと主張。

 一方、原処分庁は、「請求人は、本件家屋へ入居した経緯について、本件調査担当職員に対し「家庭の事情である」旨の申述をするも具体的な回答を拒否したことから、本件家屋への入居目的が判然としない」、「住所の移転前後において、本件家屋及び本件マンションの電気、上下水道及びガスの使用量にそれほど変化がない」などとした。

トイレや風呂が故障しても必要な修繕がされていない

 これに対して審判所は、「請求人が妻と二人で居住していた本件マンションの住所から請求人のみが本件家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う郵便局へ郵便物の転送サービスを受けるための「転居届」の提出や、自身が利用している金融機関や各種契約に係る住所変更手続などを行わず、また、トイレの貯水タンク及び風呂のボイラーなど日常生活を送る上で
必要になる設備が故障していたにもかかわらずその修繕も行っていなかった」、「一方で本件マンションは、請求人の妻が引き続き居住し、日常生活を送るのに十分な状態が保たれ、移転後も請求人宛の各種配送物の配達先でもあった」と指摘。

 また、「請求人が平成28年に住所を移転したあと、本件家屋及び本件マンションの上下水道およびガスの使用状況が増加・減少するのが一般であるが、当該移転前後において大差はなかった」とし、「これらの事実を総合的に考慮すると、請求人の主たる生活の拠点は本件マンションであり、本件家屋は、「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しない」と判断した。

 これに対して審判所は、「請求人が妻と二人で居住していた本件マンションの住所から請求人のみが本件家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う郵便局へ郵便物の転送サービスを受けるための「転居届」の提出や、自身が利用している金融機関や各種契約に係る住所変更手続などを行わず、また、トイレの貯水タンク及び風呂のボイラーなど日常生活を送る上で
必要になる設備が故障していたにもかかわらずその修繕も行っていなかった」、「一方で本件マンションは、請求人の妻が引き続き居住し、日常生活を送るのに十分な状態が保たれ、移転後も請求人宛の各種配送物の配達先でもあった」と指摘。

 また、「請求人が平成28年に住所を移転したあと、本件家屋及び本件マンションの上下水道およびガスの使用状況が増加・減少するのが一般であるが、当該移転前後において大差はなかった」とし、「これらの事実を総合的に考慮すると、請求人の主たる生活の拠点は本件マンションであり、本件家屋は、「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しない」と判断した。

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