マンション管理組合に次々と降りかかる受難
2019/02/14
マンション管理組合といえば、管理を人まかせにしている非営利組織という印象があるせいか、昔から管理費の横領事件が後を絶ちません。「新潟のマンション理事長、管理費11億円を着服か」、こんな見出しが新聞各紙に載ったのは2015年11月のことでした。新潟の越後湯沢にあるスキー・リゾートマンションで、公認会計士だった理事長が、異常に高い減価償却費を計上して決算書をごまかしながら、株やFX取引に管理費を使っていたというのです。
2011年11月には、東証一部上場のマンション管理会社の社員が、管理組合の理事長から修繕積立金7,000万円をだまし取ったという事件が起きて、全国のマンション管理組合に波紋を広げたばかりでした。
しかし、マンション管理組合がかかえるのは横領事件だけではありません。ここへきて浮上してきたのが、マンションの修繕積立金を食い物にする悪質なコンサルティング会社の存在です。通常12年~15年ごとに行う大規模修繕を工事業者に高値で落札させるように仕向けて、コンサルティング会社は工事会社から高額のバックマージンを得ていたというのです。そもそも、工事業者に勝手をやられないようにするためのコンサルティング会社のはずが、管理組合もこれでは浮かばれません。
マンション管理組合の受難はそれだけにとどまりませんでした。2017年末に73万戸と算定された築年数40年以上の老朽マンションが、2027年末には185万戸、2037年末には352万戸に急増すると推定されています。それと合わせて深刻な問題になってきたのが、こうした老朽マンションの「空き家問題」です。親などから相続した共有名義の老朽マンションが、貸すことも売ることもできずに塩漬けされて、放置された空き家が増えているといいます。
空き家が増えたマンションは、管理組合の理事のなり手もなく、管理費や修繕積立金も減っていきます。管理組合が何もできず、壊れたところがそのままになっているマンションがじわじわと姿を現しつつあるそうです。管理組合の受難は、いつまで続くのでしょうか。