宗教法人の固定資産税をめぐる争いに決着
2026/02/13
宗教法人がもっぱらその本来の用に供する境内建物及び境内地には固定資産税を課税することができないと地方税法は定めています。固定資産税は、1873年(明治6年)の地租改正で地価の3%を現金で納める国税として導入された地租が、戦後の税制改革で形を変えて市町村民税となったものでした。

この地租は、その前はなんだったのかというと、いわゆる年貢と呼ばれるものでした。わが国の歴史をさらに奈良時代の租・庸・調にまでさかのぼると、租は口分田などの収穫から3%程度の稲を納めるものだったといいます。しかし、どの時代にも神仏に税を課すようなバチアタリは登場せず、歴史的に寺社は年貢を免除されてきたので、それが踏襲されて今の固定資産税の非課税に至っているというわけです。
ところで、宗教法人の本来の用というのは、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成する、いわゆる宗教活動をいいます。ですので、固定資産税はこの宗教活動に供する本堂や本殿などの境内建物とその敷地である境内地は非課税とされていますし、庭園や参道などももちろん非課税とされる一方で、宗教法人が第三者に賃貸している土地については収益事業用地として当然課税の対象となります。
そして、仮に宗教法人が所有している一つのビルの中に宗教法人の境内建物ともいうべき本堂とそれ以外の商業テナントなどが入っていた場合、建物について本堂部分はもちろん境内建物として非課税、土地についても面積割合でその本堂の敷地に相当する部分だけが境内地として非課税とされることになります。
それでは、宗教法人が貸し付けている土地に建つホテルなどの商業施設が入る高層ビルの下に通り抜けの通路として寺院の参道と主張する空間が設けられている場合、この空間の敷地は「もっぱら本来の用に供する境内地」に当たるのでしょうか。
これは境内地に当たらないとして固定資産税を課税した大阪市とその取り消しを求めた宗教法人の争いは、2026年1月26日に出された最高裁判所の判決によってついに決着がつきました。問題になったのは、地方税法の「もっぱら」をどう解釈するのかということと、一つの土地上に課税と非課税の建物が存在するのではなく、空間しか存在しない場合に、建物が存在する場合と同様に扱うのかどうかということでしたが、判決は、宗教法人側が主張する部分は、「もっぱら本来の用に供する境内地」とは認められないと結論付けました。
