税務調査で発覚した事件
2019/11/06
税務調査で発覚した事件を挙げればきりがありません。直近では、東京都内の郵便局の職員2人が料金別納郵便で受け取った切手を着服して金券ショップで換金していた事件。5億4千万円に上る換金額は、東京国税局の税務調査で発覚し、日本郵便の法人所得の申告漏れとして指摘されたと報じられています。
少し前の関西電力役員らの金品受領事件も、税務調査によってあぶりだされた事件でした。2018年1月の金沢国税局の査察を受け、関西電力は会長、社長、副社長ら6人分の1億6千万円相当を2018年2月にあわてて返還していましたが、もう後の祭りでした。事件の主役となった元助役が彼らに贈ったとされる菓子折りの底に敷かれていた金貨の話は、この事件を象徴するエピソードとして、いつまでも人々の記憶に残り続けるでしょう。
記憶に残るといえば、2001年に発覚した青森県住宅供給公社巨額横領事件も、仙台国税局の税務調査が切っ掛けでした。チリ人妻アニータと聞いて、「ああ、あれか」と思い出さない人はいないでしょう。
事件を起こしたのは、青森県住宅供給公社に勤務する44歳の経理部担当主幹の男でした。男は、昼間はこの地味な職場に勤めながら、夜は青森市の飲食店街で派手に遊びまくっていたのです。この男が職場から横領した金額は、1993年から2001年までの8年間に、取りも取ったり14億5,900万円に上っていました。そして、この14億5,900万円のうち11億円を、青森市の飲食店で知り合い、後に結婚したチリ人女性アニータに渡していたのですから、アニータの方が男より一枚上手でした。男は懲役14年の実刑判決を受け山形刑務所に服役したのに対し、女はチリに帰って裕福な暮らしを欲しいままにしました。
青森県住宅供給公社は、法人税法別表第一に掲げられる公共法人ですが、よくもまあそんな余分な金があったものです。事件の後、損害賠償を求めて、男の自宅やアニータがチリに建設した自宅を売却させるなどして回収に努めましたが、最終的に5,300万円ほどしか回収できず、青森県住宅供給公社は、汚名を残したまま2009年に解散しました。