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トラブルは現場で起きている!

マッチ売りの少年が築いた世界最大の財団

2020/11/11

 ビルゲイツが作ったビル&メリンダゲイツ財団の資産は269億ドルといわれています。これを上回る360億ドル以上の資産を有する、世界最大の財団が、オランダにあるスティヒティング・インカ財団です。この財団がなぜそんなに資産を所有しているのか。イケアグループの親会社「インカ・ホールディング」の株式を100%所有しているからです。

 イケアグループの創業者であるイングヴァル・カンプラードは、2018年1月に91歳で亡くなる直前まで、「やることがあり過ぎて、死んでいるヒマがない」と言いながら、イケアの経営の第一線に立って、意思決定の手綱を緩めようとはしませんでした。カンプラードは、1926年にスウェーデンの南部で生まれ、5歳でマッチ売りを始めました。10歳になると自転車に乗って、魚や鉛筆を売って回ったそうです。そして、17歳のとき、学校の試験の成績が良かったことで父親からもらった褒美のお金をもとに、写真立てなどの小物雑貨を売り始めたのが、イケアの創業になりました。5年後、家具の商売を始め、1956年には消費者自身に家具の組み立て作業をしてもらう「フラットパック」方式を導入して、家具業界に革命をもたらしました。

 イケアの財団は、このオランダの財団の他に、リヒテンシュタインにもう一つあります。「インター・イケア・ホールディングス」の株式を所有するインターゴ財団です。

 イケアグループがこのように財団法人を持株企業として多用している理由は、税金と情報公開を最小限に抑え、乗っ取りに絶対合わないようにするためだといわれています。アメリカにあるゲイツ財団は、免税団体として財務状況をはじめ運営の詳細を公表することを余儀なくされています。これに対して、イケア財団は、免税団体に対する規制が緩いオランダやリヒテンシュタインに置いていることで、情報公開の義務もありません。ただ、そのために創業家であるカンプラード一家には、使い切れないほどの報酬がもたらされるものの、イケアを思いどおりにはできなくなるという制約を受け入れなければなりませんでした。

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