北海道消防協会で1億円を超える使い込みが発覚
2019/06/11
江戸の町火消しの流れをくむ消防団ですが、かつては200万人を超えていた全国の消防団員は、年々減り続けて、今では85万人を切るところまで来ているといいます。1970年には32歳だった消防団員の平均年齢も、2016年には40歳に上昇しています。消防団では、女性消防団員や学生消防団員を増やしていこうという動きもありますが、なかなか減少に歯止めがかからないのが実情のようです。
理由の一番に挙げられるのは、やはり少子高齢化ですが、そのほかにも農業などの自営業が減って会社勤めが多くなった就業構造の変化や、地域社会への帰属意識の希薄化などが挙げられています。
そんな中、この6月7日に北海道の消防団員25,904人と消防職員8,969人が会員となっている公益財団法人北海道消防協会の40代の経理担当の職員が、運営費約1億1,500万円を着服していたことが明らかになりました。
この消防協会の収支規模は年間約1億円で、1人2,000円の年会費を集めた会費収入5,000万円と自治体からの補助金等5,000万円で運営されていました。職員は、この2,000円の会費が振り込まれる口座から引き出していたというのですから、なんとも罰当たりな話です。年間に10数回から20数回、1回に数万円から200万円を引き出して「弟の借金返済や遊興費に充てた」と話しているそうです。
消防協会では、この職員に2007年から10年以上一人で経理を担当させていました。通帳や印鑑、ネット取引などの暗証番号なども一人で管理させていたようです。こんなに多額の預金を引き出すと、決算書のつじつまが合わなくなってわかるはずですが、職員は、引き出して不足した協会の資産について、協会が保有している債券の金額を水増しして決算書のつじつまを合わせていました。
この消防協会の目的には、「住民の生命と財産を様々な災害から守る」と掲げられていましたが、どうやら自らの財産を守ることもできなかったというのが話のオチでしょうか。