日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

トラブルは現場で起きている!

学校法人と関連会社間の取引を巡る問題

2017/06/27

 日本一の超高層ビルは2014年に大阪に完成した高さ300メートルの「あべのハルカス」ですが、それをはるかにしのぐ高さ390メートルの高層ビルが東京駅前に計画されており、2027年の完成を目指しているそうです。

 我が国のビルの高層化はまさにとどまるところを知りませんが、日本最初の超高層ビルは1968年に完成した高さ147メートルの霞ヶ関ビルでした。霞ヶ関ビルが開業した当座は、最上階の36階に展望台が設けられ、押し寄せる見物客で賑わいを見せていたようです。

 今は、35階に入っている東海大学校友会館がレストラン、宴会場、会議場などを運営して、見晴らしのよさを誇っています。しかし、この東海大学校友会館については、このフロアを借りている学校法人東海大学と、レストランや宴会場、会議場などを運営する関連会社の(株)霞ヶ関東海俱楽部との間の取引を巡って東京国税局から多額の所得隠しが指摘されたことがありました。

 その額は、2011年3月期までの6年間で約12億円と報道されています。関係者によると、学校法人東海大学がビル所有会社に支払っていたこのフロアの年間家賃は約4億円でした。東海大学は、これを関連会社の霞ヶ関東海倶楽部に転貸していましたが、家賃は受取らず、業務委託料の名目で年間約2億5千万円を受け取っているだけでした。

 東京国税局は、業務委託料には実態がなく家賃に当たると判断し、支払っていた家賃と受け取っていた委託料との差額約6億円が関連会社への寄附金に当たると認定したのでした。また、2009年にビルのフロアを移った際の内装工事費約6億円についても、学校法人が資本的支出として減価償却する必要があったのに、2010年3月期に収益事業の費用として一括損金算入しているとして重加算税の対象としました。

 学校法人などの公益法人等が、無償や低廉な金額で取引をしても、それが本来の目的とする事業の範囲内で行われるものであれば、このような寄附金課税はないとされていますが、不動産貸付業のような収益事業ではそれが認められないのは当然のことといえます。

PAGE TOP