怪しい監理団体、外国人実習生受入れで脱税!
2020/04/30
日本の企業が、外国人技能実習生を受け入れたい場合、その受入窓口となっている監理団体を通して受け入れるのが通常です。監理団体は、海外の送出機関と契約して、技能実習生を受け入れ、企業の業務に従事させます。海外の送出機関は、インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオスにあるといいますから、身近にいろいろな国の人を見かけるようになったのも頷けます。
監理団体は、技能実習生が企業で適切な業務に付けているかどうかを監理、指導するため、3か月に1度企業を監査し、入国管理局に報告する役割などが定められています。それで、監理団体は商工会議所や商工会、事業協同組合、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人などの、営利を目的としない法人であることが求められています。このうち事業協同組合は、法人税法別表第3の法人として全所得課税を受けますが、軽減税率が適用されます。
この監理団体をめぐる脱税事件は、以前からちらほらと聞かれていました。2010年12月に富山地裁に起訴された「アケボノ事業協同組合」は、ベトナム人研修生の受け入れで日本企業から得た手数料を、ベトナムの送出機関に送金するために一時的に預かったとして外国人名義の銀行口座に移して、3億円余りの所得を隠していました。
2020年4月の報道で明らかになったのは、広島市の「協同組合フレンドニッポン」など3つの監理団体です。フレンドニッポンは架空の業務委託費を計上したなどとして、広島国税局から2018年3月期までの数年間で約3億円の所得隠しを指摘されました。関東信越国税局の調査を受けた長野県佐久市の「全国人材支援事業協同組合」は、経費の水増しなどで約1億1千万円、関連団体の一般社団法人「全国人材支援連合会」は、売上げの一部を簿外にしたなどとして7年間で約9千万円の所得隠しを指摘されました。また、レタス村として知られる長野県川上村のレタスの生産農家に中国人実習生などをあっせんしていた「朝日協同組合」は、経費の水増しなどで約1億円の所得隠しを指摘されました。
外国人実習生の失踪や劣悪な労働環境などが指摘されている裏側で、巨額の利益をほしいままにしていた監理団体の実像の一端が図らずも明らかになった事件といえるかもしれません。