高齢者支援をうたうビジネスに注意! 遺産を譲り受けて別口座に・・・
2017/03/01
一人暮らしの高齢者は、我が国では600万人にのぼるといわれています。この独居老人と呼ばれる人たちを狙って、振り込め詐欺などの犯罪が絶えないことはご承知のとおりです。犯罪といえないまでも、この層をターゲットにしたあくどいビジネスも横行しています。
例えば、身寄りのない高齢者の身元保証や葬儀の代行を行うという名目で会費を集めたり葬儀代を預かったりするビジネスです。不特定多数の人からお金を預かるには、銀行法や割賦販売法などの法的な根拠がなくてはなりませんが、これらのビジネスには明確な法的根拠がありません。
公益財団法人日本ライフ協会が、独居老人から集めた2億7千万円を使い込んで破産し、内閣府から公益認定を取り消されたのは平成28年3月のことですが、そもそもこんな法人をよくも公益認定したものです。公益認定を信じてなけなしの老後資金を奪われた独居老人こそ浮かばれません。
そんなところへ、またまた脱税事件で登場してきたのが愛知県で同じようなビジネスを行っている一般社団法人「和みの会」という法人です。名古屋市内を中心に1000人ほどの会員がいて、年間約1億2千万円の売り上げがあるそうです。非営利型法人への移行を目指していたとのことですから、営利型の一般社団法人として会社並みの全所得課税を受けていたのでしょう。
事件は、この「和みの会」が、末期がんを患っていた高齢の会員2人の遺産約1億5千万円を譲り受けたとして、別口座に隠していたというものです。国税局の査察により明らかになった脱税額は法人税約3900万円で、重加算税を含めた追徴税額は約7000万円に上るといいます。
高齢者支援をうたって同じようなビジネスを行う民間事業者は愛知県内だけでも30前後にも及ぶといいますから、かなりなものですが、法的な根拠もはっきりしないまま多額のお金を預かるだけでなく、遺産の譲り受けなども勝手にできているような状況だとすれば、このまま放置すると大変なことになってしまう気がします。