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税理士が関与先の為に知っておきたい金融知識

金融商品のきほん-その④「NISA、続けても大丈夫ですか?」

2024/09/26

 新NISAを始めたら、突然の株価の暴落で不安になった、という方も多いのではないでしょうか。「NISA、続けても大丈夫ですか?」と継続するにも不安だ・・・というお声が聞こえてきます。この不安を減らすには、メリットだけではなく、しっかりとデメリットや注意点についても把握しておくことが不可欠です。
 NISAは良い点ばかりではありません。気をつけないと思わぬ損をすることもありえます。そこで、今回は、これだけはおさえておきたいNISAのデメリットやリスクについて見ていきましょう。

■NISAのデメリットとは
NISAのデメリットを確認しておきましょう。

◎短期的な投資に向かない
 新NISAは「長期・積立・分散」に向いている制度です。そのため、短期間で解約をした場合、大きく利益を得ることもあれば、大きく損をすることもありえます。そのため、例えば、2年後の入学金に支払うために準備した資金のように、短期間に確実に使途と必要な金額が決まっている資金の運用には向いていません。もし、万一売却損が出て入学金が不足することもありえるからです。

◎元本割れの可能性がある
 運用する金融商品は、上場株式や投資信託などの元々リスクがある金融商品です。そのため、元本割れをする可能性があります。つまり、利益も得ることもあれば、損をすることもありえます。

◎損をしても、他の口座間との損益通算はできない
 NISA口座で損が発生した場合、NISA口座以外(特定口座や一般口座)の株式等の配当金や売却益等との損益通算はできません。例え、NISA口座で売却損が生じても、その損はなかったことになります。

 つまり、NISAは利益を出すことでNISA制度のメリットを活かすことができます。

 新NISAで「長期・積立・分散」を活用すれば、短期よりも長期の方が複利の効果が大きくなるため、資産が増え利益が出やすくなります。また、一定金額を定期的に購入するドル・コスト平均法で、高いときには少なく購入し、安い時には多く購入することで、平均単価をおさえてリスクを軽減することができます。

■改めて、新NISAのメリットを確認 
 改めて、新NISAのメリットについて確認しておきましょう。

◎ずっと非課税(非課税保有期間が無期限)・ずっと使える(制度の恒久化)
 非課税保有期間が無期限で、配当金や売却金がずっと非課税です。また、新NISAは恒久的な制度のため、ずっと使えます。
 仮に配当金が10万円なら約2万円(10万円×20.315%=20,315円)、売却益が50万円なら約10万円(50万円×20.315%=101,575円)の税金がかからずにすみます。結果、手取りが増えるので、再投資すればより資産が増えやすくなります。

◎非課税枠は最大1,800万円(非課税保有限度額の総枠1,800万円)・年間360万円まで
 一生涯を通じての非課税保有限度額は最大1,800万円です。そのうち、成長投資枠は1,200万円が上限です。そのため、フルに1,800万円を活用するには、成長投資枠だけではなく、つみたて投資枠の活用が不可欠です。例えば、成長投資枠をフルに活用するなら、「成長投資枠1,200万円+つみたて投資枠600万円」のように併用する必要があります。また、つみたて投資枠のみで1,800万円という方法もあります。成長投資枠とつみたて投資枠で購入できる商品は異なるので、どちらも検討して選ぶとよいでしょう。

 非課税投資枠は年間最大360万円。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円、両方の枠をダブルで活用すれば最大で年間360万円まで投資することができます。つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に一括投資することも可能です。

 毎月一定額を積み立てるとすると、つみたて投資枠なら月10万円まで、成長投資枠なら月20万円まで、ダブルで活用するなら年間30万円までが非課税の目安です。

◎売却して減った非課税枠は、翌年以降また使える 
 NISA口座の金融商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。
 新NISAは、投資の基本的な考え方である「長期・積立・分散」に適しており、長期間コツコツ積み重ねていく投資に向いている制度だと言えます。

■投資の「リスク」とは?

 投資において、「リスク」とは、「振れ幅」のことです。振り子と同じで、振れ幅が大きければ値も大きく動き、振れ幅が小さければ値も小さく動きます。つまり、振れ幅が大きいほどリスクが高く、振れ幅が小さいほどリスクは低くなります。
 値は下がったり、上がったりするものです。例えば、株は一日の中で値が動くことがありますが、その値動きにも幅があります。1日の値動きも、1ヵ月、1年、10年・・・と長期的に見た場合には、動きの幅も違ってきます。

 NISA制度は、非課税メリットを受けながら、まとまった資産形成ができる制度です。
ただし、使い方によっては、損をすることもありえます。デメリットと注意点を把握し、投資の目的とゴールに適した投資の方法を活用するとよいでしょう。

アドバイザー/中島 典子 税理士
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会 CFP®認定者・1級ファイナンシャルプランニング技能士)
公益財団法人日本数学検定協会 ビジネス数学インストラクター、住宅ローンアドバイザー
一般社団法人相続診断協会 相続診断士
【主な著書(共著含む)】
『会社が知っておきたい 補助金・助成金の申請&活用ガイド』(大蔵財務協会)
『ムダなく、ムリなく、かしこく 資産づくりのキホン』(清文社)
『定年前後の手続きガイド』(宝島社)、『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。

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