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相続・事業承継Vital Point of Tax

15億円を借り入れ不動産購入 評価通達6の争いで納税者敗訴

2022/05/13

 財産評価基本通達6の適用をめぐる裁判で、最高裁が弁論を再開した上告審判決が注目されていたが、それとは別の評価通達6をめぐる争いについても、最高裁が納税者からの上告を棄却していたことが分かった。

 この事案は、相続直前に15億円の賃貸住宅をフルローンで購入して相続税対策を行い、財産評価基本通達に基づき約4億7千万円と評価して申告したところ、税務署から賃貸住宅の鑑定評価額10億4千万円との間に大きな乖離があり、「特別な事情がある」と認められるとして相続税につき鑑定評価額で更正処分をされて争いになった事件(東京高裁令和3年4月27日判決)の上告審。

 東京高裁は、「不動産の購入及びそのための借入は3億円を超える相続税の圧縮効果を生じさせるものであるところ、相続人がかかる相続税の圧縮を認識しこれを期待して15億円を借り入れ、本件不動産を購入したことは租税負担の実質的な公平という観点から見た場合、本件通達評価額によらないことが相当と認められる特別の事情を基礎づける事実にあたるというべき」と認定、地裁に続き税務署の鑑定評価による追徴を認めていた。

 最高裁は4月19日、納税者側の上告理由では上告は認められないと判断。これにより東京高裁の判断が維持されることになった。

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