東京局 人工衛星打上げ輸送サービスに係る消費税の取扱いで文書回答
2025/11/27
東京国税局はこのほど、「人工衛星打上げ輸送サービスに係る消費税の取扱い」について文章回答を公表した。
事前照会の内容は次のとおり。
A社は、人工衛星を所有する顧客より発注を受け、ロケットによる人工衛星打上げ輸送サービスを提供する予定。同サービスは、人工衛星の打上げに必要なロケットの準備から顧客が所有する人工衛星を国内の射場(人工衛星の打上げ用ロケットを発射する機能を有する施設)より宇宙空間における所定の軌道に投入するまでの各工程をパッケージしたものとなっている。
この場合のA社が顧客から対価を得て行うサービスは、国内において行われる課税資産の譲渡等に該当するとともに、輸出免税が適用されると解してよいかどうかを照会した。
消費税法上、事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、国内及び国内以外の地域にわたって行われる貨物の輸送については輸出免税が適用される。契約当事者であるA社と顧客との間において、ロケットの打上げ作業の実施自体を目的とする契約ではなく、「人工衛星の宇宙空間への輸送業務(所定の軌道への投入)」を目的とする契約であると合意しており、同サービスの役務の提供の完了時点は「人工衛星を宇宙空間の所定の軌道に投入した時点」としている。また、再度ロケットが打上げ可能な場合は打上げ失敗とされず、改めてロケットを打ち上げることとされており、これらのことを踏まえると、同契約は、総じて同サービスにより人工衛星を国内の射場から宇宙空間の所定の軌道に投入することを目的とし、サービスの提供に対して対価を支払う輸送契約に該当すると解されるため、A社は、同サービスは「貨物の輸送」に該当すると判断。

次に、宇宙空間は「国内以外の地域」に該当するか否かについて。宇宙空間は、1966年12月19日に国連総会で採択(日本における発効は1967年10月10日)された「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」(以下「宇宙条約」)において、宇宙空間はすべての国が自由に探査および利用できるものであり、宇宙空間は主権の主張、使用若しくは占拠またはその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならないこと等が定められている。そうすると、宇宙空間には、宇宙条約第2条の規定により、国家の主権が及ばないことから、A社は、宇宙空間は消費税法における「国内」に該当せず、「国内以外の地域」に該当するとした。
また、同サービスは国内の射場を出発地としていることから、国内において行う課税資産の譲渡等」に該当すると考えられるため、A社は同サービスについて、国内の射場を出発地とし国内以外の地域(宇宙空間)を到着地とする人工衛星の輸送であることから、「国内及び国内以外の地域にわたって行われる貨物の輸送」に該当するものとして、国内において行う課税資産の譲渡等に該当するとともに輸出免税の適用があるとの考えを示した。
これについて東京国税局は、「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答している。