要件満たしている? 国税庁が「特定医療法人制度FAQ」作成
2017/07/03
国税庁はこのほど、新たに特定医療法人の承認を受けようとする医療法人や、すでに承認を受けている医療法人が毎年度要件の充足性の確認を行うに当たり、参考となる事項を質疑形式でまとめた「特定医療法人制度FAQ」を作成・公表した。
特定医療法人とは、租税特別措置法に基づく財団または持分の定めのない社団の医療法人で、その事業が医療の普及および向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けた法人のこと。特定医療法人として承認された場合は、法人税において19%の軽減税率が適用される。
同資料では、承認の申請手続関係のほか、承認要件となる1号要件から5号要件に関する内容が記載されている。例えば、2号要件(運営組織が適正であるとともに、役員等のうちにその親族等の占める割合が3分の1以下であること)では、次のような質疑応答が示されている。
(質問)
「事前審査の段階では親族要件を満たしていませんが、事前審査の結果を受けて承認が受けられることとなった際には、役員等の変更を行い、親族要件を満たす予定です。問題となることがありますか。」
(回答)
「特定医療法人の承認審査は事前審査・内定方式を採用しており、事前審査において承認要件を満たしているかを確認していますので、原則として、事前審査の際には、親族要件も満たしていることが必要です。なお、親族要件以外の承認要件が全て満たされており、内部けん制が働いているなど、運営組織が適正と認められる場合において、既に新たに就任を予定している者が存在し、その就任をもって承認要件の全てを満たすと認められるときには、申請要件を満たすものとして取り扱うこととしています。」
また、3号要件(設立者、役員等もしくは社員又はこれらの親族等(特殊関係者)に対して、財産の運用や事業の運営に関して特別の利益を与えないこと)では、次のような質疑応答が盛り込まれている。
(質問)
「この度、理事長の子を非常勤理事として迎えることとしました。報酬の支給については、理事会に諮った上で決定する予定ですが、気を付けるべきところはありますか。」
(回答)
「医療法人が支給している役員報酬の金額が、その役員の行っている職務の内容に照らし高額と認められる場合には、特別の利益を与えていることになります。なお、監事に対する報酬についても、同様の考え方になります。また、役員報酬の金額の適正額算定に当たっては、例えば、医師と理事を兼務している者については、医師業務従事部分と理事職務従事部分のそれぞれに係る報酬金額を合理的に算定し、支給しているときは、特別の利益は与えていないと判断されます。」
なお、資料の最後には、要件を満たしているかどうかを確認できる「特定医療法人承認要件自己チェックシート」も付いている。