中小企業のM&A 検討したけど諦めた理由は…?
2020/03/12
中小企業の間でもM&Aを実施するところが増えてきたが、M&Aを検討したものの、結果として実施しなかったというケースも少なくない。
2018年版「中小企業白書」にまとめられたM&Aの実施状況(2017年11月調査、回答4263社)を見ると、M&Aを「実施した」企業は11.6%とあまり多くはないが、「実施していないが、検討をした」の15.6%を合わせると、中小企業の27.2%がM&Aを視野に入れていることが分かる。
「実施していないが、検討をした」企業のうち、具体的な交渉まで進んだものの、実施に至らなかった割合は24.4%だった。つまり、7割以上は交渉まで至らずにM&Aを断念したわけだが、その理由としては、「判断材料としての情報が不足していた」が最も多く、そのほか「効果がよく分からなかった」、「相手先が見つからなかった」などが挙げられている。
確かに、情報面の不足については、大企業と異なり、中小企業の多くは企業情報を公開していないことも多く、買い手側が売り手側の詳しい企業情報を入手することは困難といえる。こうした状況に白書では、「金融機関や士業専門家といった周囲の支援機関が適宜企業に助言をしていくことが重要であり、そのためにも、周囲の支援機関がM&Aへの理解を深める必要がある」と指摘している。
実際、M&Aの交渉時の相談相手を見ると、トップは「公認会計士・税理士」で、とりわけ「相手先を直接売り込まれた」、「自社で相手先を見付けた」という企業では、その傾向が顕著となっている。他方で「相談相手はいない」という企業の割合も高く、白書では、「相手先とのM&A実施を直接交渉する場合に、相談相手がいないことも課題になっている」、「交渉時においても、公認会計士・税理士などの士業専門家や金融機関といった周囲の支援機関の役割が重要」などと分析している。
なお、M&Aを検討したものの実施に至らなかった企業が、実際にM&Aを推進していくために必要な施策として、「マッチング情報サイトがあると便利」、「潜在化しているニーズを表に出してほしい」といった経営者の生の意見が白書で紹介されている。