令和元事務年度の相互協議事案は200件発生 事前確認は74%
2020/11/02
国税庁では、移転価格課税等による国際的な二重課税について納税者の申立てを受けた場合、租税条約の規定に基づき外国税務当局との相互協議を実施してその解決を図っており、このほど令和元事務年度(令和元年7月~令和2年6月)の相互協議の状況を明らかにした。
それによると、発生した相互協議事案は200件(前事務年度219件)。そのうち事前確認に係るものは148件(同163件)で全体の74%を占めた。移転価格課税やその他(恒久的施設(PE)に関する事案、源泉所得税に関する事案など)に係るものは52件(同56件)だった。
同事務年度における相互協議の処理件数は186件(同187件)で、そのうち事前確認に係るものは145件(同146件)、移転価格課税その他に係るものは41件(同41件)。処理件数を業種別で見ると、製造業 131件(約70%)、卸売・小売業31件(約17%)、その他 24件(約13%)となっている。
なお、同事務年度の処理件数は、過去最多となった前事務年度と同水準になったが、発生件数が処理件数を上回ったため、令和元事務年度の繰越件数は前事務年度より14件増えて542件となった。
処理事案1件当たりに要した平均的な期間は29.4カ月(同34.1カ月)。そのうち事前確認に係るものは1件当たり30.7カ月(同34.5カ月)。移転価格課税その他に係るものは1件当たり24.9カ月(同32.7カ月)だった。
令和元事務年度末の繰越事案の相手国・地域の内訳は、アジア・大洋州が最も多く、次いで米州、欧州となっている。国別では米国(21%)、インド(18%)、中国(15%)、韓国(12%)、ドイツ(6%)の順となった。