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令和5年度の「税金滞納」倒産 82件 コロナ禍後に急増

2024/04/18

 令和5年度(4~3月)に「税金滞納(社会保険料を含む)」に起因する倒産が82件となり、前年度の3.4倍に急増したことが東京商工リサーチの調べで分かった。2014年度以降では、2018年度の83件に次いで2番目の多さだが、コロナ禍以降の2020年度以降では最多を記録した。

  コロナ禍の資金繰り支援として、特例で1年間の納税猶予が認められた。経済活動が平時に戻ると猶予期間はなくなり、通常通りの納付が求められるが、コロナ禍が収束に向かうに従い、円安、原材料や資材、光熱費の価格上昇に加え、人件費上昇などのコストアップが企業の負担になっている。

このため、資金繰りに余裕を欠く企業は税金納付に資金を回せず、その結果、滞納で債権や資産の差し押さえを受け、事業継続が困難になる。特に、社会保険料は労使折半で負担しており、徴収が厳しいとの声もあり、東京商工リサーチでは「徴収にあたっては企業に寄り添った支援も必要だろう」と指摘している。

 産業別に「税金滞納」倒産をみると、10産業のうち、金融・保険業を除く9産業で前年度を上回った。最多が「サービス業他」の22件(前年度比175.0%増)で、3年連続で前年度を上回った。次いで、「卸売業」の13件(同160.0%増)、「製造業」の11件(同266.6%増)、「運輸業」の10件(同150.0%増)と続き、4産業で件数が10件以上になった。前年度は発生がなかった「農・林・漁・鉱業」が2件、「小売業」8件、「情報通信業」4件と、幅広い産業で「税金滞納」倒産が発生した。

 負債額別は、1億円以上が44件(前年度比266.6%増)で、2年連続で前年度を上回った。構成比は53.6%(前年度50.0%)だった。このうち、「1億円以上5億円未満」が24件(前年度比118.1%増)で2年連続、「5億円以上10億円未満」が12件で4年ぶりに、それぞれ前年度を上回った。また、「10億円以上」が8件で、2年ぶりに発生した。

 資本金別は、「1千万円以上5千万円未満」が31件(前年度比210.0%増)で、2年連続で前年度を上回った。構成比は約4割(構成比37.8%)を占めた。次いで、「1百万円以上5百万円未満」が24件、「5百万円以上1千万円未満」が14件と続く。また、「1億円以上」と「5千万円以上1億円未満」で各4件と、大企業から中小・零細企業まで幅広く発生した。

東京商工リサーチによる2023年度「税金滞納」倒産の詳細はこちら

 

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