日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

税務ニュースTaxation Business News

仮想通貨のFAQ 財産債務調書は対象、国外財産調書は対象外

2018/11/30

 国税庁では、今年4月以降、6回にわたり「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催し、各仮想通貨交換業者の実態等を確認した上で、正確な所得計算のための年間取引報告書などを交換業者から顧客へ提供できるようにするなどの申告利便向上策を検討してきた。

 そして、それらの議論の結果を踏まえ、簡便に所得計算をすることができる様式や方法、相続時における仮想通貨の評価方法などに加え、研究会以外で国税当局に寄せられた一般的な質問等をまとめた「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」がこのほど公表された。

 それによると、まず、「仮想通貨に関する所得の計算方法について(情報)」でも取り上げた仮想通貨取引を行った場合の所得の計算方法について例を挙げて紹介されている。

 問 次の仮想通貨取引を行った場合の所得の計算方法を教えてください。
    (例)・3月9日 2,000,000円で4ビットコインを購入した。
       ・
5月20日 0.2ビットコインを110,000円で売却した。
      (注)上記取引において仮想通貨の売買手数料については勘案していない。

 答 上記(例)の場合の所得金額は、次の計算式のとおりです。
  
【計算式】
    110,000円-(2,000,000円÷4ビットコイン)×0.2ビットコイン=10,000円
     [売却価額]     [1ビットコイン当たりの取得価額]     [売却した数量]     [所得金額] 
   (注)その他の必要経費がある場合には、その必要経費の額を差し引いた金額となります。

 そのほか、相続や贈与により取得した仮想通貨の評価方法については、「活発な市場が存在する(仮想通貨取引所または仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている)仮想通貨は、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価する」とし、一方、活発な市場が存在しない仮想通貨の場合には、「客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、その仮想通貨の内容や性質、取引実態等を勘案し、個別に評価する」としている。

 また、国内外の仮想通貨取引所に仮想通貨を保有している場合、財産債務調書の対象になるかどうかについては、「財産債務調書の対象になる」とし、「仮想通貨を預けている仮想通貨取引所の所在が国内か国外かについては、財産債務調書への記載の要否に影響はない」とした。

 一方、国外の仮想通貨取引所に仮想通貨を保有している場合、国外財産調書の対象になるかどうかについては、「国外財産調書の対象にはならない」とし、「居住者の方が国外の仮想通貨取引所に保有する仮想通貨は、「国外にある財産」とはならず、国外財産調書の対象にはならない」とした。

 国税庁はFAQと併せて、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することで、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」も同庁ホームページに公開しており、これらの施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて取り組んでいく構えだ。

 「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」はこちら

PAGE TOP