元税理士の「税理士であった期間」が懲戒処分の対象に
2021/12/13
12月10日に決定された令和4年度税制改正大綱では、納税環境整備として、税理士制度の見直しが盛り込まれた。
まず、「税理士の業務の電子化等の推進」として、税理士および税理士法人は、税理士の業務の電子化等を通じて、納税義務者の利便の向上および税理士業務の改善進歩を図るよう努めるものとする旨の規定を設けることとする。
次に「税理士事務所の該当性の判定基準の見直し」では、税理士事務所に該当するかどうかの判定について、設備または使用人の有無などの物理的な事実により行わないこととするなどの運用上の対応を行う(令和5年4月1日から適用)。
「税務代理の範囲の明確化」では、税務代理を行うに当たって前提となる通知などについて、税務代理権限証書に記載された税理士または税理士法人が受けることができることを明確化する等の運用上の対応を行う。また、税務代理権限証書について、税務代理に該当しない代理をその様式に記載することができることとするなどの見直しを行う(令和6年4月1日以後に提出する税務代理権限証書について適用する)。
「税理士試験の受験資格要件の緩和」では、①会計学に属する科目の受験資格を不要とする、②大学などにおいて一定の科目を修めた者が得ることができる受験資格について、その対象となる科目を社会科学に属する科目(現行:法律学または経済学)に拡充する(令和5年4月1日から施行)。
「税理士法人制度の見直し」では、税理士法人の業務の範囲に、①租税に関する教育その他知識の普及および啓発の業務、②後見人等の地位に就き、他人の法律行為について代理を行う業務等を加える。
「懲戒処分を受けるべきであったことについての決定制度の創設等」では、①財務大臣は税理士であった者につき税理士であった期間内に懲戒処分の対象となる行為または事実があると認めたときは、その税理士であった者が懲戒処分を受けるべきであったことについて決定をすることができることとする。この場合において、財務大臣は、その税理士であった者が受けるべきであった懲戒処分の種類(その懲戒処分が税理士業務の停止の処分である場合には、懲戒処分の種類および税理士業務の停止をすべき期間)を明らかにしなければならない。
また、②税理士の欠格条項に、①により税理士業務の禁止の懲戒処分を受けるべきであったことについて決定を受けた者で、その決定を受けた日から3年を経過しないものを加える。③税理士の登録拒否事由に、①により税理士業務の停止の懲戒処分を受けるべきであったことについて決定を受けた者で、①により明らかにされた税理士業務の停止をすべき期間を経過しないものを加える(令和5年4月1日以後にした違反行為等について適用する)。