地財審 「固定資産税の特例は厳しく検証」、「ゴルファー減税は不適当」
2016/11/30
地方財政審議会はこのほど、平成29年度地方税制改正等に関する意見を取りまとめ、高市早苗総務相に提出した。
まず、今後の地方税制の改革にあたっての基本的な考え方として、「地方税の原則に沿った地方税のあるべき姿を目指し、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することが必要」、「地方が責任をもって、地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担っていくためには、地方分権の基盤となる地方税の充実確保を図る必要」との意見を示した。
続いて、平成29年度税制改正等への対応について意見が述べられている。主な内容は次のとおり。
<個人住民税>
・三位一体の改革における所得割の10%比例税率化により 応益的性格がより明確化。
・配偶者控除のあり方は、所得税における制度改正の方向性を見極めつつ、個人住民税の性格・役割を踏まえた検討が重要。
<車体課税>
・自動車税は、都道府県税収のうち約1割を占める貴重な財源であり、地域間税収の偏在縮小に重要な役割。安易な税率引下げを行うべきではない。
・エコカー減税の延長に当たっては、非課税対象車を重点化すべき。減税対象は最新の平成32年度燃費基準を一定水準以上達成している車に限定する必要。
・グリーン化特例の見直しは、グリーン化へのインセンティブを高める方向で制度設計を行うべき。
<固定資産税>
・平成28年度税制改正において創設された「機械及び装置」に係る固定資産税の特例措置が与える影響について、今後厳しく検証し、見極めて行く必要。今後、こうした措置をなし崩し的に拡大するようなことは厳に慎むべき。
・居住用超高層建築物については、高層階になるほど実際の取引価格が高くなるという傾向を反映した、より公平な按分方法を導入すべき。
<地方法人課税>
・外形標準課税の対象法人を考える際、中小法人に対する配慮は重要であり、慎重に検討すべき。中小法人への配慮方策について検討を行いながら、対象法人の拡大についても引き続き検討が必要。
<ゴルフ利用税>
・自治体の区域外から来場するゴルフ場利用者が特段の負担なく行政サービスを享受することは不公平。
・ゴルフはスポーツであるが、営業や娯楽で行われるケースも多く、比較的高額な支出を伴い、十分な担税力も認められる。
・オリンピックの正式競技とされたことは、課税の必要性や合理性に影響を及ぼす事柄ではない。
・ゴルフ場利用税の廃止など、ゴルファー減税は不適当。