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平成30年度税制改正大綱のチェックポイント ~法人課税~

2018/02/07

〈賃上げ及び投資の促進に係る税制〉
 大企業に対し、生産性の向上のための国内設備投資や人材投資・持続的な賃上げを促す観点から、十分な賃上げや設備投資を行った企業について、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができる措置が講じられます。

 具体的には、3年間の措置として、所得拡大促進税制が改組され、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加、②国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上等の要件を満たす場合に、給与等支給増加額について税額控除ができる仕組みに改められます。
 なお、中小企業については、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上増加等の要件を満たす場合に給与等支給増加額について税額控除ができる仕組みに改められます。
 先生方の主な顧問先である中小企業は、大企業と比較して要件が緩やかに設定されています。

〈情報連携投資等の促進に係る税制〉
 情報連携投資等の促進に係る税制が創設され、革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づく設備投資(必要なシステムやセンサー・ロポット等の導入)に対して特別償却(設備投資額の30%)又は税額控除(設備投資額の3%)が可能になります。


〈租税特別措置の適用要件の見直し〉
 租税特別措置の適用要件の見直しが行われ、大企業について、所得が前期の所得以下の一定の事業年度を除き、①平均給与等支給額が前年度を超えること、②国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること、の要件のいずれにも該当しない場合には、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないことになります。

 しかし、上記の要件は容易に達成可能なものであることから、一定の税額控除が不適用となる大企業は、ほとんどないものと推測されます。

〈事業再編の環境整備〉
 産業競争力強化法の改正を前提に、特別事業再編計画(仮称)の認定を受けた事業者が行った特別事業再編(自己株式を対価とした公開買付けなどの任意の株式の取得)による株式の交換について、その交換に応じた株主に対する譲渡損益に係る課税が繰り延べられます。


〈法人税における収益の認識等の見直し〉
 企業会計基準における国際会計基準を踏まえた収益認識基準の導入を契機として、法人税における収益認識基準等について、法令上の明確化が実施されます。

 また、返品調整引当金及び長期割賦販売における延払基準の選択制度が廃止されると伴に、制度廃止による激変緩和措置として経過措置が設けられます。

〈その他〉
 次の制度は、平成30年3月31日で適用期限が到来するため、それぞれ適用期限が2年延長(平成32年3月31日まで)されます。

・交際費等の損金不算入制度
・中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置
・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

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