所得税・消費税の実地調査減少も1件当たりの追徴税額は増加
2021/12/01
国税庁はこのほど、令和2事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が1万8713件(対前年比43.9%)、着眼調査が5091件(同29.8%)、簡易な接触の件数は47万8494件(同128.7%)で、これらの調査等の合計件数は50万2298件(同116.4%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は27万9295件(同106.2%)だった。
申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが2770億円(同54.7%)、着眼調査によるものは222億円(同38.8%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は2586億円(同114.9%)。調査等の合計は5577億円(同70.7%)となっている。
実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが514億円(同54.3%)、着眼調査によるものは19億円(同42.2%)で、合計533億円(同53.7%)。新型コロナウイルスの影響により実地調査の件数は大幅に減少したが、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると224万円となっており、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、前事務年度の1件当たりの追徴税額166万円よりも増加した。なお、簡易な接触による追徴税額は199億円(同142.1%)となり、合計732億円(同64.7%)となっている。
一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が9301件(同39.0%)、着眼調査が1775件(同25.7%)、簡易な接触の件数は7万5437件(同206.2%)となり、調査等の合計件数は8万6513件(同128.5%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は4万8523件(同108.9%)だった。
追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が127億円(同47.9%)、着眼調査は5億円(同31.3%)。こちらも新型コロナウイルスの影響で実地調査件数は減少したが、追徴税額を1件当たりでみると120万円となっており、前事務年度の91万円よりも増加した。簡易な接触による追徴税額は48億円(同208.7%)で、調査等合計で180億円(同59.2%)となっている。