日商 令和6年度税制改正で事業承継税制の延長・恒久化や拡充を要望
2023/09/27
日本商工会議所はこのほど、「令和6年度税制改正に関する意見」を取りまとめて公表した。
意見書では、第4次産業革命や働き方改革など大きな社会変化が起きつつある中で、中小企業が新たなビジネスモデルにチャレンジすることが重要であり、その環境整備のために「中小企業の活力を最大限引き出す税制の整備が必要」と主張。
また、経済の好循環を生み出す存在である中小企業が自己変革力を発揮し、円滑な経営承継をはじめ、デジタル化・DXによる生産性向上や設備投資、研究開発、事業再構築、ビジネスモデル変革などによる付加価値拡大に取り組み、持続的な成長を目指していく必要があるとして、そのために「中小企業等の自己変革への挑戦」を税制面から強力に後押しすることを求めている。
具体的には、まず、「円滑な経営承継・事業継続に資する税制」として、事業承継税制の延長・恒久化(特例措置における特例承継計画の提出期限の延長(2027年12月末まで)を求めたほか、事業承継税制一般措置の拡充(対象株式の拡大(最大3分の2まで→全株式)、納税猶予割合の拡大(相続の場合80%→100%)、後継者の人数の拡大(1名→最大3名)、雇用確保要件の弾力化等)を要望。さらに、事業承継税制における事務負担や猶予取消しリスクの解消に向けた見直し(5年経過後の報告不要化、書類の一本化・書類の提出先のワンストップ化、書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化等)などを求めた。
次に、「中小企業等の自己変革への挑戦を後押しする税制」では、中小企業向け賃上げ促進税制の延長・拡充(繰越控除措置の創設等)、業務効率化や成長投資を促す少額減価償却資産特例の拡充・本則化、法人の飲食需要の喚起と中小飲食店の付加価値拡大を促す交際費課税特例の延長・拡充(交際費の範囲から除かれる飲食費の上限額を、現行の1人あたり5千円以下から2万円以下に引上げ)などを要望。
そのほか、「わが国のビジネス環境整備等に資する税制」では、中小企業の成長や経営基盤強化を阻害する税制措置への反対(外形標準課税の中小企業への適用拡大には断固反対、留保金課税の中小企業への適用拡大には断固反対、事業所税の廃止、印紙税の廃止等)の考えを示した。
日本商工会議所の「令和6年度税制改正に関する意見」はこちら。