東商 中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見を公表
2020/09/10
東京商工会議所はさきごろ、「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」をとりまとめて公表した。
意見書では、事業承継のさまざまな課題に対応した具体的な対策を要望している。まず、事業承継対策を検討するにあたり自社の現状を知ることが重要だが、東商の調査によると、自社株式評価額を算定したことがない企業は4割に上り、毎年定期的に自社株式の現状を確認している企業は2割に満たない。特に、従業員規模が小さくなるにつれて「評価したことがない」の比率が高まり、授業員5人以下では69.5%が「評価したことがない」と回答している。また、新型コロナウイルスの影響により株式評価額の変動が予想されることも踏まえ、早期の「気づき」を促すために国における株式評価算定の補助制度の創設を求めた。
次に、「事業承継税制の認知度向上に向けた周知強化、制度の改善」として、2020年4月末までに累計6500件超の申請があった特例承継計画について、中小企業の支援機関や士業の専門家などを巻き込んで、より広い層に周知強化を進めるように求めたほか、新型コロナウイルスの影響により特例承継計画の申請など事業承継に向けた取組みが遅れることが懸念されることから、2023年3月末までとなっている特例承継計画の提出期限、2027年12月末までとなっている抜本拡充された事業承継税制の延長を求めた。適用対象の拡大(後継者に係る役員就任要件の撤廃、外国子会社株式の対象化等)などを要望した。
そのほか、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」の周知徹底・利用促進として、中小企業のみならず、支援機関、金融機関などへの周知強化、運用状況のモニタリング調査の実施を要望。
さらに、事業の成長を目的とした第三者承継(M&A)を後押しする税制の拡充や、「中小M&Aガイドライン」の周知と適正な運用に向けたモニタリングの実施などを求めた。
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