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税理士が相談を受けた中小M&Aの事例②

2020/08/11

 経済産業省が策定した中小M&Aガイドラインでは、中小企業にとってM&Aが身近なものであることを理解してもらうため、18パターンの豊富な中小M&Aの事例を紹介しているが、その中には税理士が関与先から相談を受けたことがキッカケで、M&Aが成立した事例も取り上げられている。その中のひとつを紹介する。

「廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例」

譲り渡し側:A社           譲り受け側:B社
業種:製造業・小売業        業種:溶接加工業 
売上高:8億円               売上高:10億円
従業員:30名 業歴:30年

【意思決定に至るまでの経緯】
 A社は、製造業・小売業の2つの事業を営んでいた。小売業は黒字で採算がとれている一方、製造業は常に大幅な赤字で不採算であった。しかし、製造業のみに利用している工場の閉鎖には、数千万円単位の廃業費用が見込まれており、A社の代表者である伊藤博(仮)は、製造業の部門の閉鎖を決断できずにいた。そのような状況で、伊藤は70歳となり、後継者候補もいないことから、顧問税理士に中小M&Aの相談をしたところ、その関与先であるB 社を紹介された。

【成立に至った経緯】
 B社は、A社の小売業部門の独自性・流通網に大きな魅力を感じる一方、製造業部門は不採算部門として認識し、小売業部門のみの譲り受けを希望した。そのため、A社は、B社に対し、小売業部門のみを一部事業譲渡した。

【成立に至った後の経緯】
 A社は、B社から受け取った事業譲渡対価から、製造業部門の廃業費用を捻出することができたため、伊藤はA社を解散・清算して無事に閉じることができた。

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