経産省 コロナ禍に対応する企業を税制で支援
2021/10/19
経済産業省では、令和4年度税制改正要望においてコロナ禍の経済情勢に対応する中小企業・小規模事業者の支援を求めている。
中小企業でも感染対策としてテレワークの導入やビジネスのデジタル化が進んでいるが、デジタル化による生産性向上をさらに図るため、中小企業による30万円未満の少額の減価償却資産(1社につき年間300万円まで)の即時償却を認める特例措置を2年間延長するほか、中小企業を取り巻く環境変化などの実態を踏まえて必要な措置を講じることを要望した。
また、平成30年度税制改正により法人版事業承継税制が抜本的に拡充され、令和元年度税制改正では個人版事業承継税制も創設されたが、新型コロナウイルスの影響を受けて、承継時期を後ろ倒しにする傾向があり、事業承継税制の特例承継計画の申請ペースが鈍化していた。そこで、コロナ禍の影響や事業承継の実施状況、同税制の活用状況などを踏まえ、法人版・個人版事業承継税制における円滑な事業承継の実施のための措置を検討するように求めた。
そのほか、中小企業の交際費を800万円まで全額損金算入を可能とする特例措置が設けられているが、現場からは「コロナの影響で減少しているものの、交際費は業務上必要な経費として支出している」などの声があり、中小法人の交際費課税の特例の2年間延長を要望。さらに、新型コロナウイルスの影響で倒産や休廃業件数が増加する可能性を踏まえ、中小企業に
対するセーフティネット制度の適正化を図ることとし、その際、必要な税制のあり方について既存制度や運用の見直しを含めて検討することを求めた。
経済産業省では、新たな事業再構築を加速化するオープンイノベーション・重要デジタルインフラの整備についても要望している。
国内の事業会社等がオープンイノベーションを目的にスタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%が所得控除される「オープンイノベーション促進税制」が令和2年4月にスタートした。コロナ禍で企業間の接触が難しい状況にもかかわらず、足下で100件を超える投資案件が成立。ヘルスケア・バイオ・宇宙など多様
な分野でスタートアップ企業と大企業・中堅企業とのオープンイノベーション案件が実現しており、引続き案件成立を強力に推進するため、適用期限を2年間延長するほか、日本国内におけるオープンイノベーションのさらなる促進の観点から必要な拡充を図ることを求めた。
また、5G(第5世代移動通信システム)設備に係る投資について税額控除または特別償却を認める措置が令和3年度末まで適用されているが、これを2年間延長するとともに、より効果的に5Gインフラを整備するための見直しを求めている。