金融庁 NISA制度や教育資金一括贈与特例の恒久措置を要望
2018/09/12
金融庁の平成31年度税制改正要望がこのほど明らかになった。
それによると、まず、家計の安定的な資産形成を継続的に後押しする観点から、NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)を恒久措置とすることを要望。つみたてNISAについては開始時期にかかわらず、20年間の長期・積立・分散投資のメリットを享受できるよう、制度期限(2037年)の延長を併せて求めた。
また、NISA口座の保有者が、海外転勤等により一時的に日本を離れている間でも、引続きNISA口座を利用できることや、成年年齢が引き下げられたことを踏まえ、NISA制度の利用開始年齢の引下げを求めている。
次に、相続した株式の譲渡における相続税(株式分)の取扱いに関する見直しを要望。現状、相続人が、相続した上場株式等を売却する場合、その売却が3年以内であれば、株式に係る相続税分を譲渡所得から差し引くことができるが、3年以内に売却しなければ、その相続税分は全く考慮されないことから、相続後3年以内の株式売却を助長している(税制が国民の資産選択を歪めている)との指摘がある。そこで、売却期間に関する制限(3年以内)を撤廃し、国民の資産選択に歪みを与えない(相続後の株式売却を助長しない)よう、税制を整備することを求めた。
そのほか、教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化および拡充を要望した。平成25年4月に導入された同制度は、創設以来、口座数・設定額ともに順調に推移しているが、他方、依然として個人金融資産の約6割は高齢者世帯に偏重している中、子育て世代の教育費負担は重く、同制度の継続(恒久化)を求める声が多い。また、金融機関から教育資金を払い出す際に、少額であっても、教育目的であることを証明できる領収証の提出が求められることが利用促進を阻害しており、事務手続きの簡素化を求める声もあった。
そこで、世代間の資産移転を後押しするため、平成31年3月末までの時限措置とされている同制度を恒久措置とすること、また、教育資金の交付請求時における領収書の提出要件の緩和(1万円以下を3万円以下までに引き上げ)など、事務手続きの簡素化等を図ることを求めた。
ほかには、外国子会社合算税制(CFC税制)に係る所要の措置として、本邦金融機関等の外国子会社等の所得が、租税回避目的がないにも関わらず、合算課税を受けないよう、ビジネスの実態を踏まえた所要の措置を講じること。生命保険料控除制度の拡充として、所得税法上および地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円および3.5万円とし、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円とすることなどを要望している。