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法人税調査 『簡易な接触』による申告漏れ所得金額92億円で過去最高

2024/12/12

 国税庁はこのほど、令和5事務年度法人税等の調査事績の概要を公表した。

 それによると、資料情報と提出された申告書などの分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度が高い法人5万9千件(前年対比94.6%)について実地調査を実施したところ、法人税の非違があったのは4万5千件(同96.4%)、その申告漏れ所得金額は9741億円(同124.9%)、追徴税額は3197億円(同99.1%)だった。

 実地調査件数は減少しているものの、申告漏れ所得金額、調査1件当たり追徴税額は増加しており、特に追徴税額は直近10年で2番目という高水準だった。

 また、申告内容に誤りなどが想定される納税者等に対して、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請する「簡易な接触」を行っているが、令和5事務年度においては自発的な申告内容等の見直し要請を7万件(同105%)実施。その結果、申告漏れ所得金額は92億円(同117.9%)で過去最高となった。追徴税額は92億円(同129.9%)。

 法人消費税については、5万7千件(同94%)の実地調査を行い、このうち消費税の非違があった法人は3万4千件(同96.5%)、追徴税額は1095億円(同80.7%)だった。

 主な取組みとしては、虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得ていると認められる法人を的確に選定し、厳正な調査を実施。令和5事務年度は、消費税還付申告法人のうち5425件(同93.4%)に実地調査を行い、消費税390億円(同69.3%)を追徴課税した。また、そのうち846件(同90.9%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、82億円(同58.7%)を追徴課税した。

 また、国税庁では、無申告法人に対して資料情報の収集・活用を図り、積極的に調査に取り組んでいる。令和5事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人に実地調査を実施し、法人税115億5500万円(同121.9%)、消費税103億3900万円(同98.1%)、合わせて218億9400万円(同109.4%)を追徴課税した。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対して法人税56億7300万円(同93.6%)、消費税44億5500万円(同95.4%)を追徴課税した。

 そのほか、海外取引法人等については、国外送金等調書をはじめとした資料情報等から選定し、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査を実施。令和5事務年度は、実地調査を1万451件(同100.5%)実施したところ、2437件(同100.6%)において海外取引等に係る非違があり、申告漏れ所得金額を2870億円(同127%)把握。そのうち不正によるものは123億円(同91.9%)だった。

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