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保険・不動産Vital Point of Tax

基準地価 商業地で新型コロナの影響続く

2021/10/21

 国土交通省はこのほど、令和3年7月1日時点の1年間の地価動向を表す都道府県地価(基準地価)を発表した。それによると、全国の全用途平均は0.4%下落(前年:0.6%下落)となり、2年連続の下落となったが、前年より下落率は縮小した。

 用途別では、商業地が0.5%下落(同:0.3%下落)、住宅地は0.5%下落(同:0.7%下落)。住宅地は下落率が縮小したが、商業地は下落率が拡大した。今回は、すべての調査期間が新型コロナウイルス感染症の影響を受けているが、商業地における土地需要の低下、不動産取引の停滞が全国の地価に表れた格好となった。

 三大都市圏を見ると、住宅地は東京圏(+0.1%)、名古屋圏(+0.3%)で下落から上昇に転じ、大阪圏は下落(-0.3%)が続いたが下落率は縮小している。 商業地では、東京圏(+0.1%)の上昇率が縮小、名古屋圏(+1.0%)は下落から上昇に転じた。一方、大阪圏(-0.6%)は平成24年以来9年ぶりに下落に転じた。

 地方圏は、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)において全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇が続き、その他の地域では下落が継続した。

 国土交通省では、全国の地価動向として、住宅地は「都市中心部の希少性が高い住宅地や交通利便性等に優れた住宅地は上昇が継続し、昨年より上昇がみられる地域の範囲が拡大している」と分析。

 商業地については、「国内外の来訪客増加による店舗、ホテル需要でこれまで上昇してきた地域や、飲食店が集積する地域では、需要減退、先行き不透明感から下落が継続している」、「都市中心部のオフィス需要は、店舗需要と比較すると、安定的に推移している」、「県庁所在都市の中心部等では、再開発事業などの進展期待等により、上昇している地域がある」と見ている。

 近年、続いていた地価上昇は、旺盛な実需に支えられてきた不動産市場の堅調さを反映していた。地域や用途によってコロナ禍の影響の度合いに温度差はあるものの、コロナ禍の混乱が収束に向うようになれば、不動産市場も再び回復基調に戻っていくものと思われる。

 全国の最高価格地点は、商業地が東京都中央区銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」で1 平方メートル当たり3950万円。ナンバーワンを守ったが、前年比で3.7%下落した。なお、大阪圏の商業地最高価格地点は、大阪市北区大深町の「グランフロント大阪南館で1平方メートル当たり2250万円。名古屋圏は名古屋市中村区名駅3丁目の「大名古屋ビルヂング」の1840万円となっている。

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