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インタビューInterview

ブログの体験談やオフ会を通じて税理士を目指す子育てママを応援

2023/02/01

脇田 弥輝 税理士(東京・杉並区)

 専業主婦から税理士資格の取得を目指した脇田弥輝税理士。会計・税務の知識ゼロからのスタートだったが、子育てと勉強を両立させ、現在は開業税理士として活躍中だ。その脇田税理士の体験談を載せたブログは、税理士を目指す全国の子育てママから支持され、オフ会などのリアルな交流会も開催されている。


――税理士を目指そうと思ったキッカケからお聞きします。

 長男が1歳を過ぎて、自分の時間が少しずつ取れるようになり、何か資格を取得したいと思うようになりました。そんな時、税理士試験は科目合格制ということで育児と勉強を両立しながら挑戦できることを知り、とりあえず資格学校に資料請求を行い、後日、無料セミナーに参加しました。その時点では、税理士の仕事内容もよく分かっていませんでしたが、セミナーで話を聞いているうちに、税理士という職業に魅力を感じ、今ここで頑張れば自分が変われるかもしれないと思い、受験することを決意しました。

――育児と勉強の両立は大変でしたか。
 とくに大変だと思ったことはなく、育児のほかにやるべきことがあるのがとても嬉しかったですね。ただ、その頃の私は、税理士試験の難しさを分かっていませんでした。大学は理学部だったので数字に苦手意識もなく、模試の成績も良かったので自信がありましたが、ゼロから勉強を始めて簡単に受かるほど甘くはありません。2年連続で不合格となった時、自分の不甲斐なさを痛感し、家族に迷惑をかけて、お金や時間も費やし、もう諦めたほうがいいのではないかと思うようになりました。でも、家族から「ここまで頑張ったんだから、もう少し続けてみたら」という言葉に勇気をもらい、そこから2人の子どもを育てながら勉強を続け、税理士の資格を取得しました。27歳で税理士を目指した私は、34歳の二児のママになっていました。

――税理士資格の取得後、どのように実務経験を積まれたのでしょうか。
 たまたま妹の高校時代の同級生が税理士事務所を開業していて、人手が足りないということで、そこで時短勤務のパートとして働かせてもらいました。実務経験はゼロだったので、何かも新鮮に感じました。そこで2年ほどお世話になった後、税理士法人の正社員として3年半ほど働きました。その後、ベンチャー企業に入社して経理を担当しましたが、想像以上の激務と職場環境が合わず、すぐに退職してしまいました。それからしばらくは家でのんびり過ごし、転職先などを探していましたが、私と一緒にいられることに子供たちが喜んでいる姿を見て、「自宅で開業するのも良いかもしれない」と思うようになりました。

――独立開業することに不安はありませんでしたか。
 開業前はいろいろと不安もありましたが、何か困った時に相談できる税理士の仲間もいるし、事務所の固定費もほとんどかかりませんので、最後は「何とかなるだろう」という気持ちになりましたね。その後、友人が作った会社の顧問税理士となり、それから少しずつ友人や知人からの依頼や紹介を通じてお客様が増えていきました。ただ、自分が忙しくなりすぎて、お客様へのサービスの質が落ちることだけは絶対に避けたいので、新規のお客様からの依頼を少しセーブしています。お客様にとって顧問税理士は一人だから一対一の付き合いで全力支援

――顧問先数を制限しているわけですね。
 税理士にとって関与先は顧問契約している会社の1社ですが、お客様にとって顧問税理士は一人しかいません。そのため、お客様に対して20社分の1や30社分の1という付き合いではなく、常に一対一の関係で、100パーセント全力で向き合うようにしています。お客様から質問されて、すぐに答えられない場合でも、できるだけ早く回答することで、お客様に「放っておかれている」という思いをさせないように気を付けています。

――そのほかに業務で心掛けていることはありますか。
 開業する際に、これからどんな事務所を作っていきたいか、自問自答しながら事務所の経営理念を考えました。そして、「『外部の税理士の先生』ではなく、『内部の敏腕経理』と思っていただき、お客様とともに事業を成長させる」というミッションを掲げましたが、この気持ちは今でも変わりません。私自身もお客様に何か提案する際には、税理士という外部の立場ではなく、「自分がその会社の社員だったら」、「それが自分のお金だったら」などと常に当事者の立場になって考えるようにしています。

――脇田先生はブログを開設されていますが、ほぼ毎日のように更新されていますね。
 はい。2010年から「専業主婦からママ税理士へ 子育てしながら夢を叶える」というブログを開設しています。タイトルのとおり、子育てをしながら税理士試験に挑戦してきた自分の体験記を書いていますが、同じように税理士を目指している人、とくに子育てをしながら税理士を目指しているママたちの参考になればという気持ちで始めました。そうは言っても、正直なところ、知り合いの人たちがちょっと読んでくれる程度だと思っていましたが、ブログを続けていくうちに、「元気をもらいました」「背中を押されました」といった感想が届くようになり、自分でもすごく驚きました。

――税理士を目指すママたちのオフ会があると聞きました。
 私はほとんど通信講座で勉強していたので、周りに同じような受験仲間がいませんでした。そんな時に「税理士を目指すママ」というコミュニティを見つけて、そのオフ会に参加したところ、同じ境遇のママたちと出会ってすごく刺激をもらいました。私は税理士になったので「目指すママ」ではありませんが、私と同じように孤独や不安を感じながら育児と勉強を両立させているママたちの力になりたいと思い、「税理士を目指すママ」のオフ会を主催するようになりました。私のブログを読んで遠方から参加される方もいらっしゃいます。最近はコロナの影響で開催できませんでしたが、昨年は3年ぶりに開催したところ、お子様2名を含む、17名が参加しました。

――最後に今後の展望をお聞かせください。
 ありがたいことに雑誌やサイトの執筆依頼やセミナーの講師依頼も増えていますが、そうした活動を通じて新しい目標ができました。それは、税理士と顧問契約していない事業者や一般の主婦などに対して、「知らないと損する税金の話」など、ためになる話を分かりやすい例えやユーモアを交えながら解説することで、「脇田先生の話は面白いからもっと聞いてみたい」「脇田先生の解説は難しい言葉がなくて読みやすい」などと多くの方々に思ってもらえる存在になることです。もちろん、既存のお客様に対しては、これからもブレることなく事務所のミッションを遂行していきます。信用や信頼は一瞬で崩れることもありますので、これからもお客様一人ひとりと向き合って、二人三脚で事業の成長をお手伝いしていきたいですね。

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