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インタビューInterview

心理学・脳科学を活かした次世代型の経営コンサルを提供

2016/08/12

藤田 耕司 公認会計士・税理士・心理カウンセラー

 「心理学・脳科学を勉強するのとしないのとでは、人生の展開が大きく違ってくる」と指摘する藤田耕司公認会計士・税理士。大学受験の際に脳科学、心理学を勉強し、偏差値を40から70へと30アップさせて一流大学に入学。さらに公認会計士試験に合格し、現在はビジネスに役立つ心理学・脳科学のセミナー講師として活躍するほか、有名企業から社内研修の依頼も殺到。心理学・脳科学を活かした藤田氏の経営コンサルティングに注目が集まっている。

――心理学・脳科学を学ぼうと思ったキッカケからお聞きします。
 学生時代は野球に打ち込み、高校3年の夏に引退した後、大学受験までの半年間、必死に勉強しました。当時の偏差値は40でしたが、努力と根性には自信があったので何とかなると思っていました。結局、合格しませんでしたが、寝る間も惜しんで勉強したので、悔いはありませんでしたね。ただ、あれだけ勉強したのに、どうして成績が上がらなかったのか、疑問を抱くようになりました。そこで思い付いたのが、「勉強は脳を使うので、脳の取扱説明書を先に読んだ方が効率的なのではないか」ということ。そして、本屋に脳の本を探しに行ったのがキッカケです。

――そこで心理学・脳科学の本と出会ったわけですね。
 とある脳に関する本の中に記憶のメカニズムに関する記述を見つけ、それ以来、心理学・脳科学に関する本を読み漁りました。そして、そこに書かれている内容を受験勉強で使えるようにカスタマイズさせると、あっという間に暗記力が高まり、秋頃には偏差値が70を超え、最終的には早稲田大学に合格しました。1年前の自分には想像もつかない環境の変化です。人生において心理学や脳科学を勉強するのとしないのとでは大きく展開が違ってくると思いましたね。その後も心理学・脳科学の勉強を続け、その勉強の内容を活かして
公認会計士試験にも合格し、大手監査法人に勤めました。

――会計人になった後も心理学・脳科学の勉強を続けたのでしょうか。
 社会人になってお給料をもらえるようになったので、高額の心理学・脳科学に関する研修会やセミナーに積極的に参加するようになりました。数百万円かけてNLP(神経言語プログラミング)を勉強し、アメリカでの講師の資格も取りましたね。また、コーチングの勉強などにもお金を使いましたが、正直なところ、ビジネスの観点で心理学や脳科学を活かしたいという自分の想いを満足させるものには出会えませんでした。そんな中、当時、経営者交流会を主催していましたが、参加者から経営に関する相談を受けるようになり、心理学や脳科学の原理原則を踏まえたアドバイスをすると、皆さん、非常に喜んでくれました。

――心理学を用いたコンサルティングの第一歩というわけですね。
 そうですね。当時は趣味の範疇で無料セミナーを開催していましたが、自分の頭の中でビジネスにおける心理学・脳科学の活かし方が少しずつ整理できてきました。監査法人を退職して独立した後、参加者の一人を通じて、大学で経営心理学の講師を務めることが決まり、全15回の授業のコンテンツをまとめた時、これはセミナー事業として成り立つ、ビジネスに欠かせない心理学・脳科学の有益な情報を提供できると思い、セミナー・研修事業を意識するようになりました。

――通常の税理士業務は行っていないのでしょうか。
 会計・税務業務をベースにしている点は他の事務所と変わりませんが、会計コンサルティングに加え、心理学・脳科学を活かした次世代型の経営コンサルティングと研修・セミナー事業を展開している事務所は珍しいと思いますね。

――現在もセミナーを開催されていますが、どのような方が参加されていますか。 
 定員15人ほどの小さなセミナーを定期的に開催していますが、有名な上場企業の人事部長や教育部長、また、中小企業でも年商数百億円の社長なども参加していただいています。研修が終わると、その場で社内研修の講師を依頼されるほか、会社の経営コンサルティングを依頼されるケースも少なくありません。これらの方々は、すべて口コミによる参加者です。ビジネスの世界で口コミほど強力な武器はないと実感しましたね。

――セミナーではどんな話をされていますか。
 心理学、脳科学に関する基礎知識の体系的な理解のための話と、それを現場でどう活かすかという話について、コンサルティングの事例を交えながらお話しします。最近、注目度が高くなっているテーマは、ビジネスの「機械化」です。機械化によって人間の仕事がなくなるというデータが報告されましたが、そのようなビジネス社会において、今後、人間が職を失わないようにするためにはどのように行動していくべきなのか、心理学や脳科学の原理原則を踏まえながら分かりやすく解説しています。

――実際、どのように行動すればいいのでしょうか。
 脳というのは、端的に言うと「感情の脳」と「論理の脳」の2種類あります。論理の脳とは、合理性や論理性を判断する部分です。現代は、論理の脳が優位になりがちで、感情の脳がおろそかになっている傾向があります。しかし、最終的には感情の脳が意思決定を司りますので、感情の脳を動かさないと人は動いてくれません。分かりやすく言うと、合理的・論理的な説明を受けたとしても、好感が持てない人から物を買いたい、仕事を頼みたいとは思わないわけです。

――感情の脳を動かすためのアプローチが必要というわけですね。
 そのとおりです。単純作業や知識の提供を行うだけの仕事は機械化されやすいですが、人間の感情や感性を扱う対人的な仕事は機械化されにくいので、相手の感情の脳を刺激するようなコミュニケーションや人間関係を構築する能力が高い人は仕事がなくなるリスクは比較的小さいと言えるでしょう。これは全職種に当てはまることです。特に、機械化によって仕事がなくなる可能性が高いと言われる士業の方にとっては重要なテーマではないかと思います。実際、司法書士、税理士の方々は危機感を募らせている方も多く、司法書士法人や税理士法人、税理士会から研修の講師を依頼される機会も増えています。

――藤田先生も危機感がありますか。
 もちろんあります。最近は、銀行口座やクレジットカードの口座と連動して自動で仕訳が入っていく会計ソフトが登場していますし、今後、こういった機能はさらに高まっていくでしょう。全自動で申告書が作成できる時代が来たら、高い顧問料を払って税理士にお願いする人はほぼいなくなるでしょう。帳簿作成、申告書作成では機械の正確性やスピードに勝つことはできません。複雑な税務の相談は機械化が難しいかもしれませんが、そういったマーケットはあまり大きくありません。そうなると、今後は会計・税務のサービスのみならず、経営者の感情も刺激することで、「あなたに話を聞いてもらいたい」「経営の指導をしてもらいたい」といったニーズに対する付加価値を提供することしかありません。ですから、私自身の事務所も慌てて拡大しようとは考えていません。安売りはせず、その代わり非常に手厚いケアをすることで、お客様との信頼関係を深め、経営全般において頼られる存在になることを心掛けています。

――最後に一言お願いします。
 先ほども言いましたが、人生において心理学・脳科学を勉強するのとしないのとでは、その後の展開が大きく違ってくると思います。まさに、私の人生そのものが良い例です。日常の人間関係も変わり、ビジネスの世界でも非常に役立ちます。一朝一夕には効果が現れませんが、脳の仕組みや心の仕組みを理解し、理解した内容を生活や仕事の中で着実に活かしていけば、人生が少しずつ変わり始めていくはずです。

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