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インタビューInterview

個人事業専門として起業家らを支援 小さくても強いお店を作る!

2021/05/12

河南 恵美 税理士(石川・小松市)

 個人事業専門の税理士として活動している河南恵美税理士。FacebookやYouTubeを積極的に活用するほか、クラウドファンディングにも自ら挑戦しており、そうしたノウハウを顧客にアドバイスしながら「小さくても強いお店を作る」ためのサポートを行っている。

――個人事業者のサポートを専門としたキッカケからお聞きします。

 税理士資格の取得後、起業家向けの塾に参加する機会がありました。そこで皆さんの話を聞いていると、経理ができない、数字が苦手といった共通の悩みを抱えていることを知って、税理士という職業は、こうした人たちをサポートしながら一緒に夢を追いかけることができる面白い仕事だと初めて気づいたんです。そして、個人事業を専門にサポートする事務所を作りたいと思い、すぐに開業の手続きを行いました。

――個人事業者だけに絞り込むというのは珍しいですね。
 知り合いの税理士から「食べていけるの?」「繁忙期が重なって大変だよ」などと言われて、少し不安はありました。しかし、個人事業者の場合、税理士とのやり取りは年1回の確定申告だけというケースが多いですが、中には税理士にもう少し見てもらいたいというニーズがあると思い、その受け皿になりたいという気持ちのほうが不安よりも大きかったですね。

――開業後、顧客開拓のためにどのような活動をされましたか。
 結婚して愛知県から石川県に引っ越してきたばかりで、知り合いが誰もいないところで開業したので、最初は本当に大変でした。起業家や起業を目指している方を集めるためにセミナーなどを企画しましたが、女性の場合、子育てなど家庭の事情で夕方や夜に外出できない方がたくさんいます。それなら、時間が取りやすい昼間にお茶をしながら事業に役立つ話などを聞くことができれば、多くの人に喜んでもらえるのではないかと思い、お茶会を企画しました。事業の話だけでなく、士業をはじめいろんなジャンルの講師を呼んでいるうちに参加者がどんどん増えていき、募集をかけると毎回満員になる人気のイベントになりました。

――お茶会への参加はどのように呼びかけたのでしょうか。
 Facebook(フェイスブック)のイベントページを使いました。2013年から始めましたが、当時、フェイスブックがSNSとしてちょうど盛り上がっていくタイミングだったので、私が企画したイベントが目立っていたことも参加者が集まった要因かもしれません。自分の好きなタイミングで知らない人たちに情報を発信して、誰かから反応があれば、都合が良いときに確認して返信することができる。そんなSNSの仕組みは、子育てで時間が取れず、周りに知り合いもいないという環境において大きな武器となりました。情報発信としては、インスタグラムやツイッター、YouTube(ユーチューブ)など様々ありますが、どれが自分に合っているか分からないので、すべて試してみることにしています。

――河南先生のユーチューブはすごい人気ですね。
 ユーチューブについては、これから動画の時代がくるという情報を得ていたので挑戦してみたい気持ちはありましたが、何となくハードルが高くて1年ほど避けてきました。そんな時、私が毎年開催している確定申告セミナーを撮影してYouTubeにアップしてみませんかと言ってくださる仲間がいて、とりあえず一回アップして様子をみることにしました。単にセミナーをアップしただけで、再生数を伸ばす工夫なども一切していませんが、半年後にチャンネル登録者数が600人になっていて、これは自分に合っているかもしれないと思い、まずは登録者数1000人を目指して動画の配信を始めました。目標を達成できた後、一定の条件をクリアしたということで広告料が入ってきたのは驚きました。20214月の時点で登録者は17000人を超えています。

――クラウドファンディングもご自身で実践されたとお聞きしました。
 地方は都市部に比べて情報が遅れているので、以前から興味があったクラウドファンディングを自分が挑戦することで、地域の人たちにその仕組みやメリットを教えてあげられるのではないかと考えていました。1回目の挑戦は、石川県でキングコングの西野亮廣さんの講演会を開催するというプロジェクトを企画し、300人の定員をすべて埋めることができました。2回目の挑戦は、個人ではちょっと手が出せないA5ランクの肉をみんなで買って食べ比べするという企画で、こちらも大勢の方に参加していただきました。

――クラウドファンディングを成功させるポイントを教えてください。
 実践してみて成功させるコツのようなものは掴みましたが、それよりも大事なのは、クラウドファンディングはプロジェクトを企画した本人がとにかく動かないと何も進まないということです。これまで15件ほどクラウドファンディングのお手伝いを行ってきましたが、プロジェクトを成功させるには、挑戦する人のやる気、本気度、行動力の3つが絶対に欠かせません。ですから、私のところに相談に来られた方には、プロジェクトをやりたい理由を深掘りしてもらい、その人の想いや熱量を確認するようにしています。

――様々なことにチャレンジする河南先生の行動力もすごいと思います。
 私のように関与先ゼロからスタートした事務所は、差別化しないと埋もれてしまいます。税理士資格があれば税金や経理のサポートはできますが、フェイスブックなどSNSの使い方や動画配信の方法を教えたり、迷った時や苦しい時に相談できる税理士を求める事業者がいたら、その時には頼られる存在になりたい。そのためにも売上げを伸ばすための仕組み作りを日頃から考えたり、事業の参考になる情報などを集めながら、付加価値の部分に磨きをかけることを心掛けています。

――確かに、飲食店などはSNSを上手く活用すれば集客に繋がりそうですね。
 そうなんです。美味しそうな料理や可愛い小物など、写真で撮ったら魅力的なものがたくさんあるのにSNSを活用していないお店があると本当にもったいないと思います。税理士の仕事は形のないサービスなので写真に撮って映えるようなものはありません。それでも何とか工夫して情報発信していますので、そうした私の姿を見てもらえれば、自分もできるかもしれないと挑戦するきっかけになるほか、ご自身のビジネスを成功させるヒントとして利用してほしいですね。

――今後の展望についてお聞かせください。
 事務所を大きくするよりも、自分が手に負える範囲でお客様一人ひとりを丁寧にサポートすることが私のスタイルであり、それは今後も変える予定はありません。開業以来、小さくても強いお店を作るためのお手伝いをしていますが、オープン当初からのお付き合いとなると、自分のお店のような感覚になってきて、お客様が増えたり売上げが伸びると自分のことのように嬉しくなります。これからも個人事業者を専門にサポートを続けながら、経営に役立つ有意義なアドバイスがたくさんできるように、私自身もいろいろなことに挑戦していきたいと思います。

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