税務訴訟で還付加算金を取得 弁護士費用は必要経費になるか?|税務の勘所|日税ジャーナルオンライン

日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

税務の勘所Vital Point of Tax

税務訴訟で還付加算金を取得 弁護士費用は必要経費になるか?

2017/10/24

 所得税に係る更正処分と過少申告加算税の取消しを求めた裁判で勝訴したA氏。後日、過納金の還付と還付加算金の支払いを受け、その還付加算金を雑所得として確定申告を行ったが、裁判にかかった弁護士費用は必要経費に当たるとして更正の請求を行った。しかし、原処分庁がこれを認めず、法廷バトルが再び繰り広げられることとなった。

 争点は、A氏が支払った弁護士費用を過納金と還付加算金の各金額に応じて按分し、その還付加算金に対応する金額が、雑所得に係る必要経費となるか否か。

一般人に取消訴訟は困難弁護士費用は必要な支出

 A氏は、更正処分等の取消判決を求める訴訟追行は極めて専門的で困難であり、一般人である自分が行うことは不可能。そこで、弁護士に委任して弁護士費用を負担する必要があり、その費用は更正処分等の取消しを受けるために必要不可欠な支出といえるため、訴訟と弁護士費用との間には直接的な関連性が認められると主張。

 さらに、課税処分の取消訴訟を提起して取消判決を得ることは、還付加算金の支払を受けるための唯一の手段になるもので、単に課税処分の取消しを求めるにとどまらず、課税処分の取消しの結果として当然に生ずる納付税額相当金の還付および還付加算金の支払いをも求めるものである。ゆえに、課税処分の取消判決、過納金の還付および還付加算金の支払には、社会的事実としての一体性が認められることなどを訴えた。

還付加算金が生じたのは判決の直接の効力ではない

 これに対して東京地裁は、還付加算金は「所得税法35条1項に規定する雑所得に該当する」として、弁護士費用が所得税法37条1項に規定する必要経費に該当するか否かを検討。必要経費になるのは、「特定の収入と何らかの関連性を有する費用というだけでは足りず、総収入金額を構成する特定の収入と直接の対応関係を有しており当該収入を得るために必要な費用であることを要すると解するのが相当」との解釈を示した。

 それを踏まえ、A氏による課税処分の取消訴訟は、「更正処分等が違法であるか否かを審理の対象とし、納付すべき税額を確定させる効力を否定することを目的として提起されたもの。還付加算金の支払いを受けることとなったのは、判決の効力によって過納金が生じ、過納金の支払決定によって還付を受けることになったことなど法定の還付加算要件を満たしたことによるもので、判決の直接の効力によって還付加算金が生じたものではない」と指摘。「弁護士費用と判決の間に間接的な関連性を有するということはできるものの、弁護士費用と直接の対応関係を有するものということはできない」と判断した。

 また、「還付加算金は、法律上当然に加算され支払われるものであり、税務署長等または地方団体の長がその支払を怠ることはなく、その支払いを求めて別途の給付訴訟を提起する必要もない。そのため、訴訟に係る弁護士費用の一部が、還付加算金に係る収入と直接の対応関係を有し、収入を得るために必要な費用に当たるとみることは困難」とした。

 そのほか、A氏は「過納金の還付を受けることだけでなく、還付加算金の支払を得ることも目的として弁護士費用を負担した」と主張したが、裁判所は「還付加算金の額を成功報酬の算定の基礎に含めるか否かは、委任契約の当事者間において任意に取り決められる主観的な事情にとどまるものであり、弁護士費用が還付加算金と直接の対応関係を有するものではない」などとしてA氏の主張を棄却した。(東京地裁 平成28年11月19日判決)

PAGE TOP