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税務の勘所Vital Point of Tax

国税庁が回答 リモート勤務場所で税理士事務所の業務を行ったら・・・

2020/06/09

 「税理士法」に関する規定の解釈および適用の有無について、税理士のリモートワークを可能とするためのクラウド型税務申告ソフトの提供を検討している事業者から産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」による照会(令和2年4月30日付け)があり、国税庁は5月29日付けで回答を行った。

 照会者は、法人税・消費税・所得税・年末調整及び法定調書・申告届出書等の電子申告に対応したクラウドサービスの提供を行っているが、クラウドの特性を活かした使い方をもっと進めたいというニーズに答えるため、内部統制機能を強化した「リモートワーク対応版」として展開することを検討している。

 このリモートワーク対応版を実装したクラウドサービスを利用することで、税理士事務所の職員が日々の帳簿作成と決算作業までの会計業務、その後の工程の税務申告業務を税理士事務所以外の勤務場所で行うことが可能となるわけだが、その場合、リモート勤務場所が税理士法第40条第3項の「税理士事務所」に当てはまらないことを確認するための照会だ。

 なお、リモートワーク対応版を実装するに当たり、照会者は契約する税理士事務所に対して次の対応をとることとしている。①リモート勤務場所が税理士事務所と誤認されるような、看板を掲げる行為・名刺への住所記載等は行わない。②リモート勤務場所で、職員を採用していたり、顧客との打合せのための設備やスペースを設けていない、③税理士事務所による所属税理士やその他の事務所職員に対する監督義務について、勤務時間・場所、業務内容の管理、守秘義務の遵守等について、税理士事務所の業務規程で定めた上で、リモート勤務場所においても、税理士業務に係る法令上の義務は、税理士事務所で勤務する場合と同様に適用される旨の注意喚起を行う。

 この照会に対して国税庁は、税理士事務所の職員が、照会者が新たに提供するリモートワーク対応版を実装したクラウドサービスを利用してリモート勤務場所で税理士事務所の業務を行った場合にあっても、リモートワークサービスにおけるシステム上の機能および勤務時間・場所、業務内容の管理、守秘義務の遵守等に係る税理士事務所の業務規程を利用する限りにあっては、リモート勤務場所が税理士事務所と誤認されるような看板を掲げる行為・名刺への住所記載等は行わず、リモート勤務場所で職員を採用していたり、顧客との打合せのための設備やスペースを設けていないことから、当該リモート勤務場所は、税理士法基本通達40-1の「継続的に税理士業務を執行する場所」に該当しないと考えられ、税理士法第40条第3項における「税理士事務所」に該当しないと考えると回答した。

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