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マラソン塾

番外編 最強市民ランナー川内優輝③

2018/06/12

 ボストンマラソン優勝の記事から始まり、その後①、②と続けてきた川内優輝特集。今回の第3回で最近のレース結果の紹介や評価、今後の展望を行い、最後とさせていただきます。

<日本代表として集大成の2017年>
 2017年は2月の愛媛マラソンで衝撃の走り。市民大会、独走にも関わらずサブテンでゴールし、今後ずっと破られないであろう大会記録を残しました。
 
 また毎年出場している7月のゴールドコーストでもサブテンで3位。サブテンの回数を通算12回として日本人最多を更新しています。

 そして迎えた8月の世界陸上ロンドン大会。日本代表としてのラストランと位置付け、入賞を目指して挑みますが、結果は入賞まで3秒届かず9位。悔しいとコメントしながらも、自分の力を出し切ったと晴れやかな表情をしているのが印象的でした。

 12月の福岡では2時間10分53秒で9位でしたが、その2週間後の防府では2時間10分03秒で優勝。2大会の平均タイムが2時間11分00秒以内となり、東京五輪の選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップの出場権を獲得しています。

<松本の目で見た川内優輝選手>
 これまで時系列順にレース結果等をまとめてきましたが、改めてその特徴について整理したいと思います。

 まずはその粘り強さ・スタミナです。これは丈夫な身体とメンタル、50kmや100kmを一度に走る練習に加え、報道である通り大量の食事をとって吸収できる内臓の強さも要因です。寒いコンディションを好み、先日のボストンマラソンのような低温、雨、暴風といった悪条件では誰よりもその力を発揮します。

 また積極的に仕掛けていく姿勢、スパート力も随一です。2011年、雪の東京マラソンでは終盤まで先頭集団にいながら4位になり、自己ベストを5分近く更新しましたが、ここで川内選手はスパート力に課題を感じ、以降ペースを切り替えるトレーニングを行っていきます。例えば1周2kmのコースで30km走をする際、28kmまでは比較的抑え目のペース(3分30秒/km)で淡々と走り、ラスト2kmは常に全力。一気に2分50秒/kmを切るペースに切り替えるのです。こうした練習を積み重ね、勝負どころで仕掛けられる力を身に付けているのです。

 そして本人が強調するのが圧倒的な経験値です。フルマラソンを80回以上走った経験により、どんな環境でも自身のコンディションを整え、どんなレース展開でも力を発揮してゴールまで走り切ります。
 
 他方、僭越ながら指摘しますが、課題があるのは事実です。何より速いペースで押していく力(スピード)が他のトップ選手と比べて劣る面があります。具体的には1kmあたり3分00秒を超えるペースでは強いのですが、3分00秒ちょうどか少し切るような展開になると集団からこぼれてしまうケースが多いのです。

 2時間9分台から8分台のマラソンはできますが、これを7分台、そして6分台にすることができていません。この課題を克服し、自己ベストを更新するためにも選んだのがプロ転向です。

<プロランナー川内優輝へ>
 川内選手がプロとなり、『最強の公務員ランナー』の肩書はなくなりますが、また新しい姿が見れるのではないかと期待しています。

 少なくとも彼の知名度、そして数多くのレースに出場できる能力があれば、プロとして十分な収入を確保することはできるはずです。

 課題であるスピード面については、1人で練習していては自分の限界を超えていけないものです。その点、プロになって時間ができれば、実業団チーム等との合宿や合同練習が可能となり、質の高いトレーニングを積むことができます。

 まだプロ宣言をしたばかりで、実際にプロとして動くまで1年近くありますが、今後どういった形で彼が進んでいくのか、楽しみにしていきたいと思います。

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