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税務バトルから学ぶ 審判所の視点 ザ・ジャッジ

父親からの資金移動は贈与? 金銭消費貸借契約の締結は認められないが・・・

2020/04/28

 請求人は、父Aが営む「D医院」の青色事業専従者で、F信用金庫K支店に請求人名義の普通預金口座を有しており、請求人の父Aは、F信用金庫〇〇部に自分名義の普通預金口座を有していた。

 平成23年12月、請求人は父Aから贈与により現金を取得。平成24年12月にも父Aから現金を取得した。これらの現金について、請求人は自分の口座に入金することなく費消し、贈与税の基礎控除を超える贈与については、贈与税の申告書を法定申告期限までに提出した。

 なお、平成23年4月、父Aの口座から〇〇円が出金され、そのうち〇〇円を請求人口座に入金。また、平成24年10月にも父Aの口座から〇〇円が出金され、請求人口座に入金されているが、請求人はそれらの資金については贈与財産に含まなかった。

 平成30年1月、原処分庁の調査担当職員が、請求人の平成23年分と平成24年分の贈与税に係る実地調査を開始。その結果、平成23年4月と平成24年10月に行われた資金移動はいずれも贈与に該当するとして無申告加算税や過少申告加算税の賦課決定処分を行ったことで争いとなった。

会議に代理出席した際の交通費などの精算が目的

 請求人は、「父Aからの資金移動は、医療関係者との交渉や接待、会議への出席など本来父Aが従事すべき医療業務に請求人が父Aの代理人として従事した際に立て替えて支払った費用の精算と、今後同様に父Aの代理人として従事することにより立て替えて支払うこととなる費用の前渡しである」などとして、請求人と父Aとの間に贈与はなかったと主張。

 一方、原処分庁は、父Aからの資金移動について、「請求人と父Aとの間で金銭消費貸借契約が締結された事実および請求人が主張する本来Aが従事すべき医療業務に請求人が代理人として従事した際に立て替えて支払った費用の精算などの事実は認められないから、請求人と父Aとの間には、民法第549条に規定する贈与契約の要件事実について黙示の合意があったと認めるのが相当」などとして、請求人は父Aから贈与によって財産を取得したものとした。

 両者の主張に対して審判所は、「請求人は、自己名義のクレジットカードを保有し、N社やP社への支払い、ホテル利用料金、飲食代金、ネット購入代金などの支払いに使用しており、その決済金の支払口座は請求人口座となっている」、「請求人は平成29年6月、調査担当職員に対し、父Aの指示により月1回から2回程度の頻度で開催される医療専門団体の会議に出席しており、その交通費や私的な費用の支払いに請求人カードを使用していることを申述している」という事実を確認。

 そして、「請求人と父Aとの間で金銭消費貸借契約が締結されていた事実は認められないものの、資金移動に係る出金および入金の各手続は、父Aまたは請求人の母により行われている」、「請求人は調査担当職員に対して、父Aの指示により月1回から2回程度の頻度で医療専門団体の会議に出席していたと申述しており、請求人口座から交通費などの支払いが行われていることなどを考慮すれば、父Aは会議に出席した際の交通費などを支弁する目的で資金移動をしていたとみるのが自然であり、資金移動によって贈与と同様の経済的利益が請求人に生じていたと認めることはできず、請求人は父Aからの贈与により財産を取得したと認めることはできない」として、原処分庁の処分を全部取り消した。(令和元年6月27日裁決)

 

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