年末に不動産賃貸業を承継 消費税で注意すべきことは?|教えて熊王先生!消費税の落とし穴はココだ!

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教えて熊王先生 消費税の落とし穴はココだ!税理士 熊王征秀

年末に不動産賃貸業を承継 消費税で注意すべきことは?

2017/02/07

Q.不動産賃貸業を営む父が平成28年12月中に他界したことにより、サラリーマンである私は父の賃貸物件(商業用ビル)を相続により承継することになりました。承継した物件の家賃収入は年間およそ6,000万円です。私の不動産賃貸に関する消費税の取扱いについてご教示ください。

A.
(1)相続人の納税義務と課税事業者届出書の提出について
 
被相続人の相続があった年の基準期間(平成26年)における課税売上高は1,000万円を超えますので、貴方は相続があった日の翌日から納税義務者になります(消法10①)。よって、「課税事業者届出書」と「相続があったことにより課税事業者となる場合の付表」を速やかに納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(消法57①一)。


(2)簡易課税制度の適用の検討について
 簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、原則として事前に「簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がありますが、個人事業者(相続人)が次の①又は②の課税期間中に「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます(消法37①、消令56①一・二)。


 ①個人事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間
 
②個人事業者(免税事業者)が相続により簡易課税制度の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合におけるその相続があった日の属する課税期間

 
本事例における相続人は①のケースに該当しますので、平成28年中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、同年分から簡易課税により申告することができます。

(3)納税義務の判定と簡易課税制度の適用判定との関係について
 相続人の簡易課税制度の適用判定については、被相続人の実績は考慮せずに、相続人の基準期間における課税売上高のみにより判定することになります。


 結果、本事例では、被相続人の売上規模が5,000万円を超えてはいるものの、相続人の基準期間(平成26年)における課税売上高はゼロであることから、相続人は相続があった平成28年分の申告で簡易課税制度の適用を受けることができます。
 (注)吸収合併又は吸収分割があった場合における合併法人又は分割承継法人の簡易課税制度の適用の有無については、合併法人又は分割承継法人の基準期間における課税売上高のみにより判定することとされています(消基通13-1-2)。つまり、納税義務の判定とは異なり、被合併法人や分割法人の実績は考慮しないということです。

(4)年末に相続が発生した場合
 
相続人が「簡易課税制度選択届出害」を提出期限までに提出できなかった場合でも、その課税期間の末日前おおむね1か月以内に相続があった場合で、相続人が新たに簡易課税を選択することのできる個人事業者になった場合には、承認申請をすることにより、届出書を提出期限内に提出したものとして取扱うこととされています(消法37⑦、消令57の2①、消基通13-1-5の2)。

 具体的には、「簡易課税制度選択届出害」とともに「簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」を、相続があった年の翌年2月末日までに提出することにより、承認を受けることができます。

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