区分記載請求書を受領 追記で補正する場合の注意点
2021/02/05
Q.私は飲食店業を営む個人事業者です。食材には拘りがあり、契約農家から無農薬の農作物を定期的に仕入れ、食材として利用していますが、農家から発行される領収証には、支払年月日と支払金額、生産者(販売者)の名称は記載されているものの、但書きには何も記載がありません。そこで、受領した領収証に仕入れた農作物の適用税率(8%)と作物の種類を記載した上でこれを保存することとしています。このような追記の方法でも仕入税額控除は認められますか。
A.
●帳簿の記載事項
令和元年10月1日から令和5 年9 月3 0日までの間は、仕入税額控除の要件として、法定事項が記載された帳簿及び区分記載請求書等の保存が必要となります。
帳簿には、①から④までの従来の記載事項に加え、新たに⑤の記載(下線の箇所)が義務付けられています。
①仕入先の名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額(対価の額)
⑤軽減税率対象品目である旨
なお、帳簿には、商品の一般的総称でまとめて記載したり、軽減税率の対象となる取引に、「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、これらの記号・番号などが軽減税率の対象であることを表示するような記帳方法も認められます。
したがって、元帳などに8%の軽減税率を表示しても構いませんので、帳簿の追記事項については通常の記帳業務で要件は充足されるものと思われます。
●区分記載請求書等の記載事項
区分記載請求書等には、①から⑤までの従来の記載事項に加え、新たに⑥と⑦の記載(下線の箇所)が義務付けられています。
①請求書等の発行者の名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額(対価の額)
⑤請求書等の受領者の名称
⑥軽減税率対象品目である旨
⑦税率ごとの税込取引金額
なお、小売業や飲食店業、タクシー業のように不特定多数を相手にする業種については⑤の記載は省略することができます。
●追記による補正
前記⑥または⑦の記載が漏れている領収証などを受領した場合には、再交付を受けずとも、取引の事実に基づいて追記をすることが認められています。ただし、領収証の但書きが空欄の場合や「品代」と記載されているような場合には、「取引内容」そのものが記載されていませんので、そもそもの記載要件を具備していないこととなり、結果、追記は認められないこととなるようです。いささか厳しすぎるような気もするのですが、国税庁の公表資料《事業者の皆様へ(~区分経理から消費税申告書の作成まで~)令和元年11月国税庁発行》の2頁にその旨の記載がありますので注意が必要です。
また、白紙の領収証は無論のこと、取引年月日や取引金額の記載が漏れている領収証などについても当然に追記をすることはできませんのでご注意ください。