日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

トラブルは現場で起きている!

成年後見制度への信頼を揺るがす者たち

2023/03/27

 成年後見制度を悪用した犯罪は、ひと頃に比べると減少したといわれますが、依然として後を絶たず、成年後見人を務める弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家による悪質なものもなくなっていません。そのたびに、成年後見制度への信頼は大きく揺らいでいます。

 平成25年に沖縄県司法書士会の元会長が、自らが成年後見人を務めていた知的障害者や高齢者等男女4人の成年被後見人の口座から、合計1億2,350万円を横領し、未公開株に投資していた事件では、懲役4年の実刑判決が下されました。

 また、東京弁護士会の元副会長が、バブル期の不動産投資に失敗し、多額の借金返済や事務所経費に充てるため、成年被後見人の女性の定期預金を8回にわたり解約し、4,244万円を横領した事件では懲役5年の実刑判決を受けています。

 そのほか、福岡では弁護士会の元会長が、母親の成年後見人を務める息子に対し、「裁判所から母親の財産を共同で管理するように指示された」と噓をつき、2年の間に4,400万円をだましとったとして、懲役5年の実刑判決を受けています。

 そうした中で、福岡県久留米市のNPO法人「権利擁護支援センターふくおかネット」の元理事長で社会福祉士の森高清一被告(66歳)が、平成28年7月以降、高齢者から1,200万円余りを横領した事件は、成年後見制度に対する社会の信頼を揺るがしただけでなく、「NPO法人は犯罪の温床になっている」という声も聞こえるなど、NPO法人に対する印象まで損なうものとなりました。


 森高被告は、福岡県社会福祉士会副会長として成年後見制度を推進する立場にありましたが、成年後見人を紹介するこのNPO法人の理事長を務めていた平成28年から平成30年にかけて、管理していた二人の預貯金口座から着服していました。平成30年7月には着服を隠す目的で財産が相続人に引き継がれたように装った書類を作成し、福岡家庭裁判所に提出するなど、悪質で巧妙な工作を行っていましたが、全額を返還したことから、令和5年3月24日、福岡地方裁判所において懲役3年執行猶予5年の判決を受けました。

 

PAGE TOP