日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

トラブルは現場で起きている!

2018年問題を知っていますか?

2017/06/12

 人の一生で大学に行くのは、ほんのわずかな期間に過ぎません。しかしそのわずかな期間のことが現代社会では必要以上に強調され、その後の長い生涯に影響を及ぼしたりします。後世の人々から見れば、これは間違いなくおかしな風習や迷信の類に映るでしょうが、しかしどんな時代でもおかしなことの一つや二つはあるのです。

 ところで、大学業界では、2018年問題が間近に迫っています。我が国の大学進学者数は、18歳人口の減少にもかかわらず、大学進学率の上昇を反映して、これまで右肩上がりから横ばいを続けてきましたが、それもいよいよ2018年を境に減少に転ずることとなります。そのため、すでに定員割れを生じている私立大学が閉学に追い込まれたり、生き残りをかけて公立大学化するなど、大学の淘汰が始まるだろうと予測されています。

 こうした事情は、予備校業界とて同様です。大手予備校の代々木ゼミナールが、全国27か所の校舎のうち、7か所を残して20校舎を閉鎖したことは、象徴的な出来事として大きく報道されました。

 大きな報道といえば、代々木ゼミナールと並んで三大予備校に数えられる河合塾と駿台予備校の巨額に上る申告漏れのニュースが思い出されます。

 それによると、学校法人河合塾は、名古屋に本拠を置く大手予備校ですが、名古屋国税局の税務調査を受け、2009年3月期までの2年間で16億円の申告漏れを指摘されていたことがわかりました。法人税の収益事業課税を受ける法人では、収益事業と非収益事業の区分経理を正しく行わなければなりませんが、河合塾では経理担当の人員が減らされて1人当たりの作業量が増えたことから区分経理の作業ミスが生じたことが主な原因とみられています。その他、消費税の課税売上になる学生寮での食事の売り上げを非課税扱いで処理していたこともわかっています。

 一方、老舗の駿台予備校を展開する学校法人は、東京国税局の調査を受け、2008年3月期までの5年間で12億円の申告漏れを指摘されていました。駿台予備校は全国に設置している33校の予備校のうち、15校は専修学校や各種学校の認可を受けており、18校は無認可となっていました。無認可の予備校の授業料収入は、技芸教授業として収益事業の申告をしなければならなかったのですが、駿台予備校では非課税扱いにしていたというものでした。

 こうした作業ミスや長い間の思い込みによって起きるミスは、どういう法人でも生じる余地がありますので、人ごととは思われません。

PAGE TOP