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使用貸借について

2026/06/25

 使用貸借は、平成29年に民法の改正によって要物契約から諾成契約に変更されたが、実質的には民法の制定以来ほぼ変化がなく、さらに言うと基本的な構造は古代ローマ時代からほとんど変化がない。なお使用貸借の改正は令和2年4月1日以降の契約から適用される。使用貸借が諾成契約に変更された理由は、本来は親族間等近しい関係者間によるものが多かったが、目的物を引渡しまで契約上の義務が発生しないこととなると、取引の安全を害することになるためとされている。

 使用貸借の成立要件は、当事者間において、①目的物を引渡し、②無償で使用収益させ、③その後返還の約束の各合意となっている。一方その終了については、①期間の定めがある場合はその期間の満了、②目的に定めた使用収益の終了、使用借主の死亡である。使用貸借の解除要件は、貸主については①期間目的等の定めがない場合はいつでも、②借主の義務違反、また借主はいつでも契約解除できる。ここで注目すべきことは、借主が法人の場合は死亡しないので契約終了の要件に当てはまらない場合があること、また貸主が死亡してもそれだけを理由として契約終了の要件とはならないということである。契約期間が世代を超えて長期にわたるケースが出てくる。そうすると、所有権の取得時効についてのトラブルが発生するのではないかと気になるところである。しかし、所有権の取得時効が認められるためには、占有者が所有の意思をもって占有していることが必要である。それは内心の主観的意思を基準に判断するものではなく、占有をもたらした契約その他の原因や当事者を取り巻く諸事情から判断することとなる。これを自主占有という。これに対して使用貸借は他主占有である。

 租税における課税要件事実は私法上の契約が基礎となる。したがって課税要件を判断する場合に他の契約に置き換えることはできない。例えば以下のような裁判例[1]がある。個人Aが使用貸借契約により学校法人Bに貸し付けた土地の相続税評価について借地権の有無が争われた。Aは無償返還届出を行っておらず本件土地は借地権があるものとして取り扱われるべきであると主張したのに対して、裁判所は使用貸借契約を認定した上で、形式的に同届出がされないことのみを理由として、税務上借地権の負担があるものとして取り扱うことは相当ではないとした。

 一方、使用貸借が節税目的で利用された事案について下記のような判決がなされた[2]。親Cが子Dと土地の使用貸借契約およびその土地にアスファルト舗装をしてDに贈与し、Dが駐車場業に係る収益を享受した。裁判所は実質所得者課税の原則(所得税法12条)を根拠としてその収益はCの所得と認定した。裁判所は、舗装部分を含む土地の使用貸借契約は有効に成立したと認定したが、相続税対策を主たる目的としたもので、Cの土地に係る所得を形式的に分散する目的であったとした。

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[1] 大阪高裁平成18年1月24日判決(TAINS Z256-10277)
[2] 大阪高裁令和4年7月20日判決(TAINS Z272-13735)

執筆:滝口 利子 税理士/監修:追中 徳久 税理士

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