相続税の簡易な接触 申告漏れなどの非違件数は3638件
2022/12/21
令和3事務年度における相続税の調査状況をみると、実地調査の件数は6317件(前事務年度5106件)、このうち申告漏れなどの非違があった件数は5532件(同4475件)、非違割合は87.6%(同87.6%)だった。
申告漏れ課税価格は2230億円(同1785億円)で、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、「現金・預貯金等」705億円(同529億円)が最も多く、「土地」274億円(同188億円)、「有価証券」257億円(同282億円)と続いている。
追徴税額(加算税74億円を含む)は560億円(同482億円)だった。令和2事務年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により実地調査件数が大幅に減少したが、令和3事務年度は実地調査件数ならびに追徴税額ともに増加した。
実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3530万円(同3496 万円)となり、過去10年間で最高となった。実地調査1件当たりの追徴税額は886万円(同943万円)だった。なお、重加算税の賦課件数は858件(同719件)、賦課割合は15.5%(同16.1%)だった。
国税庁では、相続税の実地調査のほか、簡易な接触(文書や電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの接触)を実施している。令和3事務年度は1万4730件(同1万3634件)に簡易な接触を行い、このうち申告漏れなどの非違および回答などがあったのは3638件(同3133件)。申告漏れ課税価格は630億円(同560億円)、追徴税額は69億円(同65億円)となり、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最高となった。
調査に係る主な取組みとして、令和3事務年度では無申告事案を把握するために資料情報の収集・活⽤などの取組みを実施した結果、実地調査件数は 576 件(同462件)、申告漏れなどの非違件数は502件(同409件)、申告漏れ課税価格は572億円(同455億円)、追徴税額は74億円(同61億円)。実地調査1件当たりの追徴税額は 1293 万円(同1328万円)だった。
また、海外資産関連事案に対する実地調査件数は660件(同551件)で、申告漏れなどの非違件数は115件、海外資産に係る申告漏れ課税価格は56億円(同34億円)、非違1件当たりの海外資産に係る申告漏れ課税価格は 4869 万円(同3579万円)と増加した。
国税当局では、相続税の補完税である贈与税についても積極的に資料情報を収集し、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、令和3事務年度における実地調査件数は2383件(同1867件)。このうち申告漏れなどの非違件数は2225件(同1769件)、申告漏れ課税価格は175億円(同109億円)、追徴税額は68億円(同37億円)だった。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は734万円(同584万円)、追徴税額は287万円(同201万円)となっている。