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「中小M&Aガイドライン」を策定 支援機関別に支援内容や留意点を提示

2020/04/23

 経済産業省・中小企業庁はこのほど、中小企業におけるM&Aのさらなる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、新たに「中小M&Aガイドライン」を策定した。
 
 後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法のひとつだが、経営者の中にはM&Aに関する知見がなく、具体的な進め方が分からない人や、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する人も存在する。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が適切に支援を実施することが重要となる。

 
こうした現状を踏まえ、「中小M&Aガイドライン」では、①M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、②M&A業者等に対して、適切なM&Aのための行動指針を提示している。

 後継者不在の中小企業向けの手引きでは、約20の中小M&A事例を提示し、M&Aを中小企業にとってより身近なものに感じてもらうほか、中小M&Aのプロセスごとに確認すべき事項や、適切な契約書のひな形を提示。また、仲介手数料(着手金、月額報酬、中間金、成功報酬)の考え方や具体的事例の提示により、手数料を客観的に判断する基準を示している。支援内容に関するセカンドピニオンも推奨している。

 また、支援機関向けの基本事項としては、支援機関の基本姿勢として、事業者の利益の最大化と支援機関同士の連携の重要性を提示。M&A専門業者に対しては適正な業務遂行のため、①売手と買手双方の1者による仲介は「利益相反」となり得る旨を明記し、不利益情報(両者から手数料を徴収している等)の開示の徹底など、そのリスクを最小化する措置を講じるように求めている。

 ガイドラインでは、支援機関別に求められる具体的な内容や留意点を提示しており、その中で税理士については、中小企業にとって身近な相談役であり、顧問として中小企業の実情を把握し、中小企業の税務・会計にも精通していることなどから、中小M&Aにおいても積極的に支援することが期待されるとしている。

 また、中小M&Aに関わる業務は専門性を有し、多岐にわたるため、顧問先のM&A案件について一人で抱え込まず、必要に応じて、ほかの支援機関と連携するなど、顧問先に親身に寄り添う姿勢が期待されるとしている。

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