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会計検査院 留保金課税の適用範囲について検討求める

2020/11/18

 会計検査院はこのほど、和元年度決算検査報告を公表したが、その中で留保金課税の適用範囲について「課税の公平性が保たれていない状況となっているおそれがある」と指摘した。

 留保金課税は、平成19年度税制改正により、法人税法において、留保金課税の適用対象から資本金の額が1億円以下である非支配会社が除外された。これは、外部からの資金調達が難しい状況にあるといった中小企業の財務基盤の強化を図る観点から見直されたものである。

 しかし、財務省において、中小企業の財務基盤が強化されているかどうかを判断するための具体的な指標は設定していない。そこで、会計検査院では、資本金1億円以下の会社の財務基盤、配当などはどうなっているか、特定同族会社との間での公平性は保たれているかなどに着眼して、中小特定同族会社1万6845法人および特定同族会社1445法人を対象として検査を行った。

 その結果、特定同族会社の平均純資産額および平均自己資本比率をいずれも上回っている中小特定同族会社が411法人あることが分かった。

 また、これらの中小特定同族会社は、特定同族会社と比べて配当を行っていない傾向にあり、一定額以上の留保所得金額があっても留保金課税が適用されないため、「留保金課税の適用対象である特定同族会社との間で課税の公平性が保たれていない状況となっているおそれがあると思料される」と指摘。

 さらに、留保金課税が適用される子会社である特定同族会社から留保金課税が適用されない親会社である中小特定同族会社に配当を行い、親会社において利益を留保することは、留保金課税が設けられた趣旨にそぐわないおそれがあることから、留保金課税の適用範囲について、財務省に対して有効性や公平性を高めるよう検討を行うように求めた。

 会計検査院の指摘は、そのほとんどが税制改正に反映されているだけに、今後の行方が注目される。

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