動画配信による収入を無申告 重加算税となった決め手は?
2023/01/11
インターネットを利用した新しいビジネスとして、YouTuber(ユーチューバー)のように動画配信によって収入を得るケースが急増している。その中には多額の利益を得ている者もいえるが、「どうせバレないから」などと所得税の申告をしないケースも少なくない。
調査対象者Bは、所得税の申告がなく、また、収入はなかったとの内容で住民税の申告を行っていたが、当局が収集した資料などから動画配信による収入を得ている事実が確認されたため、調査に着手した。
Bが「申告すべき収入はない」との申し立てを行ったことから、当局が現物確認調査を実施した結果、多額の入金が認められる預金口座を確認。さらに、動画配信サービス運営会社に対して反面調査を行い、投げ銭などの収入も含んだ動画配信収入の全貌を把握した。しかし、Bを追及したところ、動画配信による収入だと認めたものの、申告の必要はないとの認識であったという回答は変わらなかった。
そこで当局は、動画配信サービス運営会社に対する反面調査や、Bのパソコンから把握した各種サイトの閲覧履歴などから、Bはほかの動画配信者の税務調査に係る動画を視聴したこと、また、動画配信サービス運営会社による申告の必要性に係るメッセージを開封していたことを把握。それらを踏まえ、Bを厳しく追及したところ、動画配信による利益の申告の必要性を認識していたにもかかわらず、収入はないとの虚偽の内容で住民税の申告書を提出し、所得税の申告書を提出しなかった事実を認めた。
その結果、所得税(3年分)について申告漏れ所得金額は約3600万円、重加算税を含む追徴税額(加算税込み)約700万円を課税した。